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企業は「マシン」なのか、「生き物」なのか

2009年9月28日(月)

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 企業は、常に効率的に機能すべき「マシン」であるべきなのか。それとも、常に矛盾を抱えている「生き物」なのか。

 商売して利益を上げる集団組織。これが企業の定義であると思う価値観が少なくないですが、それは20世紀の「機械論」の延長と言えるでしょう。一方、21世紀には「生命論」というインサイトによって、今まで見えなかった企業価値の姿が浮かび上がってくるかもしれません。

人生は効率的でなく、矛盾だらけ

 米国人経済学者のミルトン・フリードマンが1970年に発表した論文では、ビジネスの社会的責任は資源を活用して収益の最大化に限ると主張しました。企業が安易に社会へのミッションなどに能力と資源を向けることは効率的ではないという考えです。

 ノーベル賞受賞者という偉人に異論をあげることこそ非効率かもしれませんが、私のような凡人にはこの考えが腑に落ちません。人は効率的な生涯を経るために、この世に生を受けた存在ではないと感じるからです。もちろん、機械の一部品であれば効率的に機能しなければなりませんが、人は機械ではなく、生命体なのです。

 機械の部品は生き甲斐を必要としません。また、その時その時を効率的に機能しなければ他の部品に交換されてしまうのが機械の部品です。

 一方、機械の部品と違って、人は生き甲斐や感動が不可欠です。1日1日を効率的に過ごすことだけに、人は生き甲斐や喜びを感じるわけがありません。世界の人類すべてがこの世に誕生した瞬間に同じ結末を確実的に共有しています。それは、いずれ死を迎えるという結果です。

 しかし、みな同じ結末が必ずあるのに、人はその日その日をそれぞれの想いと行動で生きます。明日になれば、その結末の日に1日近づくというのに、私たちは明日を楽しみにします。人生は効率的ではなく、矛盾だらけなのです。

 学問や机上の分析は矛盾を抱えては成り立ちませんが、実世界で生きていることに多くの矛盾と共生することが日常の常識です。生命が宿る人の集合体である法人(企業)が、機械のように機能するわけがないのです。企業は生き物なのです。

 2006年になって、別の偉人がノーベル賞を受賞しました。マイクロファイナンスという画期的な手法で貧困問第に立ち向かう、バングラデッシュでグラミン銀行を創立したムハマド・ユヌス。

 ユヌスが発するキーワードに「多様性」があります。これほど多様性に満ちた世の中なのに、企業の存在価値が収益の最大化だけではないという主張で、新たな企業の姿を築きました。多様性とは、まさにこの世の中の生物が「生きる」ために表現する最大の特徴です。

 「効率性」と「多様性」というノーベル賞受賞者同士の思想の相違には時代的背景が見受けられます。20世紀は、効率化によって生産性を高めることによって先進国がおおむね同じペースで豊かになった画一的な時代でした。

 ところが、21世紀に入れば、日本のような成熟社会もあれば、中国やインドのような高度成長社会もあり、そして本格的な経済成長がもうちょっと先になりそうなアフリカ諸国などが混在する一方、インターネットやその他メディアなどでお互い存在を直に認知できる多様な時代に入ったのです。

 つまり、効率化合理主義のフリードマンは20世紀モデルの「機械論」。多様性合理主義のユヌスは21世紀モデルの「生命論」と言えるのです。もちろん、20世紀の機械論を否定すべきではありません。効率化合理性によって生産性を高めることは、とても大切です。ただ、この思想が「オンリーワン」ではなく、限界もあるということに21世紀の私たちは気づくべきなのです。

 「機械論」とは、部品が組み立てられて時計になるように部分的な考え方です。西洋医学も「機械論」といえます。なぜなら、部分的な視点から疾病を治療する学問であるからです。胃は、あくまでも体のパーツの1つであるうえ、その胃を「部品」として薬か手術で治療します。

 一方、「生命論」では、そもそも「いのち」は個体の隅々に流れているという全体的な考え方です。東洋医学は体に巡り回る気の流れが乱れたので、たまたまその病症が胃に出たという全体的な考えです。その治療は、「胃を治す」ということより、「気の流れを正す」ことに努めます。

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