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手足を縛るマニフェストという“弊害”

特別対談 小峰教授と竹森教授が日本の経済政策と政治を語る(下)

  • 小峰隆夫 竹森俊平

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2009年9月29日(火)

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小峰 これはすごく大変だと思います。例えば年金の計算にしても、年金の将来展望にしても、これはいったいどういうデータに基づいて、どういう計算をしているかは、なかなか外からは分からないんです。

段ボール箱いっぱいの原データを持ってきた官僚

 ある野党の代議士が、それを全部チェックしようと思って、情報公開法で出させたら、とにかく出せばいいんでしょうと、段ボール箱いっぱいの、山のような原データを出してきた。それはもらっても、どうしようもないわけです。

竹森俊平教授

竹森 なるほど(笑)。

小峰 実は学者もそういう情報を見て検討する作業をすればいいと思うのですが、そういった情報をいかに共有するかとなると、なかなか難しい。それこそ官僚の独占になっているので、不透明なところがあるんです。

竹森 私はともかく官僚組織の持っている情報を共有して、実際上の作業についても官僚の協力を得ることが必要と思います。同時に、年金5000万件の記入漏れが典型ですけれども、官僚組織が大きな過ちを起こしている可能性もある。もしそのような過ちがあるならば、早く見つけて早く明るみに出す。そういう過ちが新政権が発足して半年以内に出てくるなら、それは前自民党政権の責任下の問題が発掘されたわけであって、新政権にとっては得点になるでしょう。ところが、1年たってしまったら、それは新政権の責任になる。

小峰 そうですね。

竹森 だからそういう意味ではミスを早く見つける必要があります。私はその意味で、政権交代にはプラス面があると思います。

 ずっと同じ政党がやっていると、官僚のミスは政党のミスにつながり、明るみに曝せば政党の人気が落ちる。だけど政権が時々変われば、前政権下のミスをかぶらないために、ミスをチェックする意欲が出てきます。それが一番のプラス面でしょうね。

小峰 私はずっと官僚をやっていたので、民主党の官僚批判についてはずいぶん考えるところがあるのですが、確かに政権与党が変わったのをきっかけに、例えば日産自動車にカルロス・ゴーンさんがやって来て、過去のしがらみを気にしないでコストカットしたのと同じように、しがらみに縛られないで行政改革ができるのはチャンスだとは思います。

 しかしちょっと心配な点もあります。官僚支配からの脱却、と言いますが、自分が官僚をやっていた経験から言うと、「そんなに官僚が支配していたのかしら?」という気持ちがどうしてもぬぐいきれないんです。

 それから、民主党が「変える」と言っていることについて、本当にどれぐらいの意味があって、実際に変えられるのかなとも思います。

 1つだけ例を言うと、100人の政治家を政府の中に送り込むと言います。実はこれまでも70人ぐらいの政治家が政府の中にいるんですよね。

 私は国土交通省で局長をやっていましたので分かるんですけれども、局長の上に政治家がたくさん張り付くわけです。副大臣とか政務官とか。国土交通省だとそれが5人ぐらいいるんです。

 何が起こるかというと、局長が根回しのために説明して回る政治家の数が増えるだけの話なんです。要するに「屋上屋を架す」ことになってしまう。

 何が一番問題かというと、政治家は局長ではないということです。つまり局長はその局の施策に対して、いろいろなデータを持っていて、蓄積があって、意思決定をして、責任を持ちます。

 その上に立つ、政務官なり副大臣が何かコメントをし、その案を大臣のところに持って行く。大臣が「それは違うんじゃないの」と言う。するとすぐに意見が変わって「じゃあ、やめます」となって結局は責任を取らない。単に意見を言う人が増えちゃうだけの話で、あんまり効率的にならないと思うのです。

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