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家を買わぬホームレスに罰金?

医療制度改革で試される米国民の「チェンジ度」

  • 勝藤 史郎

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2009年10月8日(木)

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 金融危機と景気後退で、米国でも「市場主義悪玉論」が正論になりかけた。しかし、市場主義悪玉論は単に一過性の流行であって、かつ金融危機という舞台背景の前だけで映える演出であった可能性が濃厚である。

 オバマ民主党政権による医療制度改革の行き詰まりがそれを表している。

「約90兆円の財政赤字拡大」で頓挫

 過去のクリントン政権の失敗の経験などを基に、オバマ政権の医療制度改革は当初から大きな公的医療制度を前面に出さなかった。そして、医療制度改革が経済成長に与える影響を分析した大統領経済諮問委員会報告書(6月)を公表するなどして、「経済問題」としての制度改革を訴えた。

 6月に議会で作られた法案(エドワード・ケネディ上院議員=8月に逝去=が健康・教育・労働・年金委員会で作成)では、国民皆保険と公的医療保険を導入するも、公的保険と民間の保険は選択可能とした。

 しかし、財政赤字が2019年度にかけて延べ1兆ドル(約90兆円)拡大するという議会予算局の試算により、財政の観点からつまずいた。また公的医療保険は、過去同様に共和党や保守派のみならず国民も含めた反発を呼び、医療制度改革は夏休み前にいったん頓挫した。

売上税や無駄の排除で赤字幅を圧縮

 夏休み後の9月にボーカス上院議員がまとめたいわゆる「超党派案」では、公的医療保険の旗を降ろし、代わって消費者所有運営による保険制度(CO-OP)の創設と、これに対する政府資金拠出に切り替えた。

 また、高額な医療保険を販売する保険会社に売上税を課すことなどで、低所得者への保険料補助などの支出を賄うこととした。

 それでも賄い切れない部分は、医療における無駄の排除などによるコスト削減を積み上げて、その結果、2019年にかけて延べ490億ドル(約4兆4100億円)の財政赤字削減という試算を引き出した。

 だが医療制度改革の本旨は、財政赤字削減や公的医療の是非よりも、もっと社会的な問題にあったはずだ。特に国民皆保険は、理想主義者・市民運動家としてのバラク・オバマ大統領の哲学がもっとも強く反映される政策である。

「悪いアイデア」との回答が過半数

 無保険者が4700万人もいて、十分な治療を受けられない。ほかの先進国に比べて高額な医療費にもかかわらず、米国民の寿命は他国に比べて短い――。

 だから公的医療保険や国民皆保険により国民全員がコストを負担して助け合おうという制度が導入されるのは極めて理想的である。既にほとんどの先進国ではこれが普通になっている。

 オバマ大統領は反発の多い公的医療保険の導入については6月頃からすでにこれを政策からはずすことをほのめかしていたが、一方で、国民皆保険についてはこれをまだ維持する姿勢のようだ。 

 ところが、この医療制度改革に対してはいまだに国民の約半数が反対している。9月時点のNBC/WSJの調査によれば、オバマ医療制度改革全体を「良いアイデア」とする回答は全体の39%、「悪いアイデア」とする回答はこれをやや上回る41%である。

 各論では「連邦政府が運営する公的医療保険が民間と競合すること」を医療制度改革法案に「盛り込むべき」との回答は53%にのぼり、「盛り込むべきでない」との回答は40%にとどまった。

 ところが国民皆保険(低所得者には補助を出すが保険料が払えるのに無保険のままの国民には追徴課税などのペナルティを課す)を法案に「盛り込むべき」は38%にすぎず、「盛り込むべきでない」でないが57%に上っている。

総論賛成、個人に不利な各論には反対

 調査機関によって結果にばらつきはあるし、膨大複雑な制度改革の内容を全て国民が十分正しく理解しているとは言えないだろう。だが、大まかにこれらの調査から浮かび上がるのは、医療制度を良くする総論には賛成だが、個人に不利な各論になると反対が増えるという傾向である。

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