「もう、お金には振り回されない」

収入は上がらない前提でどう暮らす?

雇われない働き方でパラダイムシフト

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2009年10月27日(火)

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 めでたく世界有数の長寿国となった日本で、幸せなはずの長生きを「リスク」ととらえる、憂うつな状況に陥っているのは残念なことです。その不安を打ち消そうと、年金保険や医療保険を買ったり、資産運用で収益を上げたりしようとするのですが、そのことで新たな不安や悩みが生じてしまうこともあるようです。加入している保険会社の経営は大丈夫だろうかとか、新商品が出ているようだけど乗り換えた方がいいのかとか、安定的な運用と言われたのにずいぶん損をしてしまったなど。

 私がファイナンシャルプランナー(FP)になった当時、将来の収支予測を行うキャッシュフロー表の作成に際しては、収入の伸び率を3%程度に設定するのが当たり前でした。それがだんだん2%、1%と下げざるを得なくなり、現在ではリスク管理上、収入は上がらないものとして予測することが多くなりました。そして、特に若年世代の方には、収入を途絶えさせないことがどんな資産運用にも勝ることをお伝えしています。これからの生活設計は、従来通りのプランニング手法だけでは難しい時代に入ってきたようです。

家族1人に収入源を集中させないというリスク管理

 例えば、結婚したら妻は配偶者控除が使える103万円に収入を抑えるのが得とか、社会保険料負担が発生する境目である130万円の壁など、制度に自分の生き方を合わせる時代が続きました。しかし、これからの生活設計において、今の制度を前提として損得を論じることはあまり意味がないと思われます。

 高度成長時代は、女性が家事や育児を担当して銃後の守りを固め、男性が大黒柱となって働くという効率の良い労働力提供体制がうまく機能しました。企業は終身雇用を前提とした給与体系と福利厚生制度でそれに報いてきました。

 配偶者控除が創設された1961年から50年近くがたたとうとしています。時代は大きく変わり、厳しいグローバル競争、低価格競争にさらされる企業は、これまで国に代わって担ってきた勤労者の生活保障分野から手を引き始めています。正規雇用・非正規雇用にかかわらず、賃金が伸びていくことは考えにくいでしょう。

 そうであれば、家族の中で収入源を1人に集中させないことがリスク管理になります。暮らしは10年、20年、30年と続いていきます。配偶者控除の廃止に反対するよりも、雇用形態にかかわらず、同一労働・同一賃金の確立や処遇の公平性を求めていくことが理にかなっています。働きたい人や働かなくてはならない人が安心して働けるための、保育や介護のインフラ整備も不可欠です。

 収入は、必ずしも雇われる働き方から得られるものに限定する必要はありません。周りを見渡して、「あったらいいな」と思うサービスを自ら事業化することも選択肢の一つです。

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著者プロフィール

内藤 眞弓(ないとう・まゆみ)

フィナンシャルプランナー。1956年香川県に生まれ、日本女子大学英文科卒。13年間、生命保険会社での営業を経験した後、独立系のフィナンシャルプランナー集団「生活設計塾クルー」(毎月マネーセミナーを開催)のメンバーに。家計運営に次々と新しい考え方を取り入れ、それぞれの生活スタイルに合った家計運営術をコンサルティングしている。著書に『医療保険は入ってはいけない!』、共著に『新版 生命保険はこうして選びなさい』『年金はこうしてもらいなさい』などがある。

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