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金融危機の根っこは1980年?

成長の“ボーナス時期”は終わりを迎えた

  • 立田 博司

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2009年11月10日(火)

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 第2回目の今回からしばらくは、「新しいニッポン」への思考を進めていく中で、まずは今般の金融危機の背景からじっくりと探っていきたいと思います。その際に、まず世界の状況とその歴史的な背景を考えてみるというのがトップダウンの考え方ですし、現実のミクロな現象を踏まえてそのトップダウンの考え方を検証するのがトップダウンとボトムアップの融合という発想です。まずは、現状認識から始めてみます。

 このところ発表されている企業の中間決算は、製造業を中心に期初の会社の業績予想を上回る会社が続出するという意味で、まれに見る好決算です。これは、(1)昨年秋のリーマンショックで急激に減らしすぎた在庫調整の反動、(2)世界的ななりふり構わぬ財政・金融政策によるカンフル剤、(3)年初までの原材料安が遅れて効いてきているなどの好環境が後押しして、最悪の事態を想定した期初予想ほどには悪くなかったということでしょう。

出口を出るのは早すぎ

 そしてこの最悪期からの反動は、前月比ではそろそろ終わりに近づいてはきますが、前年同月比では来年の1~3月期までは持ちそうです。ただ、企業業績がいい割には株式市場がそれほど上がらないのは、こうした状況を既に「織り込んでしまっていた」からかもしれません。いずれにしても、最悪期からの反動が息切れするのはもうそこまで見えてきているので、株式市場の上昇局面としては8合目くらいには来ている(もちろん頂上まで上がるとは限りませんし)と言えます。

 そのような中で、週末のG20財務相会議でも話題になったのが財政・金融政策の「出口戦略」。「出口戦略」とは、昨年来のなりふり構わぬ財政・金融政策もこのままずっと続けるわけにはいかないので、どのようにして、いつから普通の状態に戻していくのか、という軟着陸戦略のことです。

 豪州では既に利上げをして出口を出始め、インドは出るサインを出し、EU(欧州連合)もそろそろ出たがっています。一方で、米国では金融政策はまだまだだし、財政政策は住宅購入の補助延長を決めるなど、出口には程遠いようですし、英国でも回復が遅れているのでまだまだ出られないようです。このように、各国によって出口戦略についてはスタンスが分かれるところですが、私の見方では、世界的に出口を出るのはまだまだ早すぎて、また入り口に戻らなければならない局面が来てしまうと思っています。

 簡単に言えば、バブルが崩壊して世界の需要水準ががっくりと落ちたにもかかわらず、供給はほとんど削減されていませんし、何よりも(1)米国の過剰負債に支えられた過剰消費、(2)中国に代表される新興国に対する過剰投資、(3)それを支えてきた過剰なリスクテイクに支えられた過剰流動性、という3つの過剰問題の根本が解消されていないからです。

 そんな中で、政治的には苦痛に耐えられないので対症療法的に財政・金融政策を出さざるを得ないのですが、それがまた新たなバブルを生んだり、供給削減を遅らせたりするのは、日本の20年間で経験してきたことです(もちろん問題の根っこは違うのですが)。週末に米国バラク・オバマ政権が追加的な財政政策を検討すると表明したことは、あと1年に迫った来年11月の中間選挙をにらんだ政治的な焦りで、まさに日本型の問題先送りに似た構図だと考えてもいいでしょう。

 週末のG20では、世界的な不均衡是正や金融規制強化について話し合いましたが、残念ながらこれからお話しする過去30年間における壮大な不均衡の是正には、それなりの時間と痛みの深さが必要だと考えています。それでは今回は、先程指摘した3つの過剰のうち(1)の米国の過剰消費について考えて見たいと思います。

 ご存じの通り、1990年代後半から2000年代前半において、世界の需要の牽引車は米国の消費だと言われてきました。実はその消費水準は、「リスク不感症」の金融機関にたきつけられて過剰な負債を抱えた米国の個人が、それが永続するかの如く過剰に消費したことにより「かさ上げ」されたものだったのです。

 ただ2008年までは、それを過剰とも思っていなかったうえ、かさ上げされた米国消費を目がけて輸出を加速させてきた日本や新興国では設備投資や雇用拡大を図り供給を拡大させてきたのです。それがIT(情報技術)バブル崩壊後~2008年までの景気拡大加速の裏側だと考えています。従って、まずは米国の過剰消費の「根っこ」を探ることが肝要です。

規制緩和とIT産業の登場

 私は、その「根っこ」は1980年前後にさかのぼると考えています。その際に、1980年からの30年間が、ちょうど米国の長期金利が(今では想像もできませんが)10%台半ばから2%台にまで低下してきた時期にも当たることを記憶に留めておきましょう。1980年と言えば、世界の中で日本がまさに今の中国のように工業化を進め輸出攻勢をかけて貿易摩擦が激しくなっていた頃、そして英・米はまだ疲弊した1970年代の記憶から抜けきれなかった頃です。

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