「国際金融センターとしてのロンドンの地位が危うい」という論調を最近よく耳にする。きっかけのひとつは、今般の金融危機を背景とした欧州の規制強化の動きだ。
欧州連合(EU)では本年4月に「オルタナティブ投資ファンド運用者指令(案)」を発表した。これはヘッジファンドやプライベート・エクイティ(PE)・ファンドなどを含めたすべての投資ファンドに適用される法案で、成立すればEU域内でのファンド運用には、当局への事業許可を得る必要が出てくる。
ヘッジファンド流出の懸念
事業許可を得るにはガバナンスや資産評価、当局への情報開示体制を整えておくことが条件で、これには相応にコストがかかる。こうした規制が現実のものとなる前に、規制対象外の地域へ抜け出そうというヘッジファンドが増えているということだ。
EU域内でこの影響を最も大きく受けるのは、欧州全体のヘッジファンドの約8割、PEファンドの約6割を有する英国、ロンドンである。
このため新たな規制が現実化すれば、多くのファンドが英国を離れEU外に移り、最終的には国際金融センターとしての地位をスイスや、あるいは中東、シンガポールといった他の地域に奪われてしまうのではないかとの懸念につながる。
ヘッジファンド規制に限らず、英国内やEUレベルで進む金融機関に対する流動性規制の強化や報酬制限といった措置なども、内外の金融機関にとっては大きなコストであったり、英国に本拠を置くインセンティブを下げたりする要因となっていると考えられる。
英税収の5分の1をロンドンが稼ぐ
英国における金融業の重要性は政府も当然認識している。金融機関の報酬規制などに関しては積極的な規制案を展開している一方で、金融業の地盤沈下は何としても避けたいというジレンマに陥っている。
金融業が近年の英国経済の発展にどの程度貢献してきたか。それについては、例えばブレア政権が誕生した1997年と第3期政権が発足した2005年、そして直近の2008年における、過去5年間の業種別実質総付加価値増加率に対する寄与率を比較してみると全体像が垣間見える。

これによれば、年々、鉱工業セクターの寄与率が大きく落ち込んでいると同時に、金融仲介業や不動産関連業の寄与率が大きく上昇している。
国内総生産(GDP)以外でも、例えば2007年の英国の税収に占めるロンドンのシェア(職場ベース)は18.2%で、約5分の1をロンドンだけで賄っている計算になる。金融セクターの生み出した富が政府経由で地方に再分配され、経済を下支えしているという構図だ。
こうした重要性を背景に、ダーリング財務相は、アセットマネジメント協会に諮問する形でワーキンググループを設置し、共同でアセット・マネージメント・ワーキング・レポートを公表した。
同レポートでは、ロンドンがアセットマネージャーにとって魅力的であり続けるための22の提言が行われた。また11月には官民共同で英金融産業の宣伝組織である“The City UK”を設立するなど、政府も何とか「顧客離れ」を防ごうと必死だ。
為替取引は米国に2倍
では現在、金融面での英国のプレゼンスはどの程度のものか。以下では簡単に国際金融市場におけるプレゼンスに関する国別比較を行った。
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1972年東京都生まれ。96年一橋大学商学部卒業、富士銀行(現みずほ銀行)新宿西口支店入
行。98年同国際資金為替部にて対顧客為替ディーラー。2004年よりみずほ総合研究所に向し、為替・原油市場分析を担当。08年より現職。著書に『







