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中国の「過剰投資」は報われるのか

世界的な不均衡是正は、資産バブルの崩壊後?

  • 立田 博司

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2009年11月24日(火)

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 バラク・オバマ米大統領のアジア歴訪も終わりました。アジア諸国においては、大変期待されていた米中首脳対話も不発に終わり、いかに米中関係が難しいかだけが印象に残りました。

 さて今回は、金融危機の根本的な課題として挙げた3つのうち、最後に残った中国に代表される新興国に対する「過剰投資」の背景と現状について、中国を例に取って考えていき、今回の会談でも話題に上がった「国際的な不均衡」とこれからの展開について、考察していきたいと思います。

米中が「不均衡の是正」という皮肉

 まずは、中国の歴史と現在の状況から始めたいと思います。長い視点で見ると、そもそも中国は四大文明の1つを起源とし、高い文化と発明を誇ってきた強国でしたし、欧米列強に利権を奪われる19世紀までは、世界最大の経済大国であったというデータもあります。逆に言えば、中国がマイナーな存在になったのは、この100年余りのことなのです。

 10月1日の国慶節で、中華人民共和国は還暦(60周年)を迎えました。すなわち、中国の長い歴史の中でも、共産党の一党独裁による社会主義を軸とした時期というのは、人の一生にも満たない短い時期だけなのです。その60年間は、大きく2つの時期に分かれています。

 中国は第2次世界大戦後、国民党に勝利し中国共産党の指導者になった毛沢東が、1950年代半ばから共産主義社会の実現を目指して、生産手段である農地の公有化や人民公社などの集団化を進めました。ただ、生産に関しては無責任な体制で、耕作意欲も刺激しなかった農業の集団化は、1958年からの3年間の「大躍進時代」に3000万人を超える餓死者を出すなど、社会主義的な政策は失敗を繰り返しました。戦後からここまでの約30年間は、典型的な共産主義の世界です。

 そして60年間の残り半分の30年間は、1978年12月に始まったトウ小平(トウは登にオオザト)の改革開放政策(一人っ子政策もこの時ですね)に基づく市場の時代になっていきます。もちろん市場の時代とはいえ、社会主義を維持しながら、市場の原理を徐々に入れていくという壮大な実験ではありました。

 今から20年前の1989年6月には天安門事件が起こりました。これは、社会主義と市場主義の軋轢とも取れますが、私はその前年、1988年に中国を訪れました。まだビザを取るのも香港から深セン(センは土ヘンに川)を経由してからでしか申請できませんでしたし、国内では貨幣が「人民元」と「外国人用の元」というように2つに分かれているなど、改革・開放というにはほど遠かったのです(とはいえ、外国人の私が1人で勝手に動き回れたという意味では、やはり開放されていたのかもしれません)。

 今思えば、上海には新しい高層ビルは全くなく、人民服と自転車が主流の古き良き(私の勝手なノスタルジーですが)中国だったと記憶しています。その後1992年春にトウ小平が南巡講話で「改革開放を大胆に行う」と号令をかけ、秋の第14回共産党大会で「社会主義市場経済」という路線を正式に選択したことで、市場経済化が加速することになり、2001年にはWTO(世界貿易機関)にも加盟することになりました。

 それからの中国経済の躍進は、みなさんご存じの通りです。ただよく考えてみると、当初は「社会主義の計画性」と「市場経済による競争」を組み合わせて安定的かつ速い成長を目指したわけですが、市場主義による高成長が達成されるにつれて、社会主義を隅に追いやってきたように思います。

 そもそも社会主義は、富の平等や福祉の向上、弱者保護といったことを目的にしていたはずなのに、それは忘れ去られて中国は米国と並ぶ世界で最も大きな格差社会になったのです。その米中が今回「不均衡の是正」について話し合ったというのは、まさに皮肉でしかありません。

経済問題が政治でしか解決できない

 従って、私は、中国の根本的な問題は、「社会主義」「市場経済」の矛盾そのものだと考えています。「官の官による官のための経済」と揶揄されるように、土地・金・許認可を握る政府の力が強すぎるため、国有企業は金融や通信、公共交通、資源、教育、電気・水道といった基幹産業を握り、今回の大規模な経済対策でもその恩恵にたっぷりとあずかり、その幹部たちも暴利を得るなどさらに格差が広がっているのです。

 一方で民営企業は、輸出製造業や商業・サービス業、不動産業等の一部業種に限られており、閉塞気味であるのは否めません。もちろん政府としても、格差が広がることによる不満の蓄積こそが共産党一党独裁を脅かすので、管理を強化したり法治路線を取ったりといった小手先の対応はしています。

 そして「社会主義」「市場経済」の矛盾は、共産党一党が行政・全人代・司法の三権を実質的に握っていること、市場経済の根幹であるべき権利が保障されておらず、それを見張るべき言論の自由も保障されていないことに現れていると考えています。

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