急激な円高、ドバイショック…。世界経済が再び揺れ始めた。国内では深刻な「需要不足」で価格破壊が進み、デフレに突入。政府・日銀は緊急対策を発表したが、猛烈な経済収縮は止まりそうにない。
11月27日。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の信用不安が引き起こしたドル売り・円買いの流れが一時、1ドル=84円台という14年4カ月ぶりの円高を招いたこの日、総務省が発表した全国CPI(消費者物価指数)も節目を記録した。物価下落の「広がり」がこれまでで最も大きくなったのだ。
深刻な「需要不足」は3年続く
シティグループ証券の村嶋帰一・エコノミストによると、10月のCPIでは585品目のうち、62%が前年同月に比べて値下がりした。これまで、値下がり品目が最も多かったのは2002年3月の61%。CPIはガソリンなど家計の支出に占める割合が大きい品目の値動きによっても大きく動くが、今回の物価下落は特定品目の値下がりではなく、多くの品目が値下がりしたという点が「深刻さの象徴」だと村嶋氏は言う。
日本が「デフレ」を経験するのはこれが戦後2回目だ。前回に当たる1990年代後半からの物価下落は大手金融機関が経営破綻するといった金融危機がデフレの根本原因。だが今回は金融システムの大きな混乱はなく、大企業でも資金調達が難しかった昨年末から今年初めにかけての資金繰り懸念はむしろ後退している。デフレの要因が全く異なるのだ。
今回のデフレの原因は、経済の需要不足。しかも、当面は大きく改善しそうにない「真性デフレ」の様相を呈しているのだ。日本総合研究所の湯元健治理事も今回のデフレは長期間にわたって、じわりと広がっていく懸念があると指摘する。

右のグラフは日本経済の需要と供給の関係を示した「需給ギャップ」と、CPIの動きをまとめたものだ。需給ギャップのマイナスは需要が供給を下回る「需要不足」の時期で、この間は物価が下がるという構図が鮮明だ。
試算したマネックス証券の村上尚己・チーフ・エコノミストによると、2009年7〜9月期の需給ギャップはGDP(国内総生産)比でマイナス8.1%、40兆円強の需要不足だ。
問題はこれから先だ。日本経済が順調に成長を続けるという「やや楽観的」(村上氏)という試算をしても、2012年7〜9月期の需給ギャップはマイナス5.8%。前回の金融危機の時期に最大の需要不足が1999年7〜9月期のマイナス5.5%だったことを考えると、これから3年間、順調に経済が回復しても、需給ギャップのマイナス幅は金融危機の時期を上回る。当時以上のデフレ圧力が日本経済にかかり続けることを示しているのだ。
急激な円高がデフレを加速
既に賃金は下落が続いている。厚生労働省がまとめた現金給与総額は10月まで17カ月続けて前年割れとなった。家計は財布の紐を締めている。総務省が家計調査を基に実質的な消費水準を算出した10月の「消費水準指数」(2005年平均=100)は97.1と、2カ月続けて前月を下回る。特に「被服及び履物」の指数は87.6で、身の回り品の購入を抑える姿が浮かび上がった。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。










