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「企業文化資本」の勃興と「産業資本」の低下

ハイエクvsケインズの経済論争が新たなステージに

  • 立田 博司

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2010年1月12日(火)

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 新年が明けて、世界の株式市場は順調に上昇を続けており、気分良いスタートとなりました。ただ皆さんの周りの状況から考えると、多分、株式市場の動きに違和感を持つ方も多いのではないでしょうか?

 株式市場が先見性を発揮しているのか、それとも実感が正しいのか、それはいずれ分かることですからさておいて、今回は違和感の根源にある資本主義のあり方について考えていきたいと思います。

 前回は、企業の「経営力」の中でも企業経営や組織のあり方について、「米国型経営」と「日本型経営」の歴史的変遷と対比を通して検討し、「新しい日本型経営」を導くことができました。その過程でも触れましたが、実は企業を経営する時には、資本市場や資本主義のあり方そのものが、経営のあり方に大きな影響を及ぼしているのです。さらには、資本主義の土台になる価値観を「ヒト」に置くのか「カネ」に置くのかでも、結論は大きく変わってきます。

 2008年のリーマンショック以来の世界的な大変動も、政府が打ってきたカンフル剤のおかげで景気が持ち直してきたこともあり、時間とともに危機感が薄れてきているように感じます。ただ私は、今般の世界的な金融危機は、単なる一時的な経済事象にとどまらず、資本主義のあり方そのものや「ヒト」と「カネ」の価値観のバランスについて根本的に考え直さなければ、カンフル剤や形だけの規制強化のような対症療法だけでは、早晩深刻な病気が再発することになると考えています。

 そこで今回は、以前述べてきた21世紀における価値観の変化や環境の大きな変化の潮流に対する認識を深めながら、資本主義がどのようにあるべきなのかを考えていくことにします。これは、企業の経営にとってだけではなく、個人の人生や働き方、また社会・国のあり方にも関わるテーマなので、自分のこととして真剣に捉えていただければと思います。

モノに対する限界的な飽和

 資本主義や社会主義といった主義を考える前に、そもそも人間が社会を形成し経済活動を行う目的は何か。私は、人々が「豊か」で安定した生活ができるような環境を実現することで「幸せ」だと思えること、だと思っています。

 18世紀は「理性の時代」「啓蒙主義時代」と言われるように、知識人や哲学者たちが「豊かさ」という目的のために、理性に基づく社会を求め、教育や商業・金融といった様々な活動が十分に機能するためには道徳的な裏づけがなくてはならないという信念を持っていたようです。

 ところが19世紀以降の近代工業社会において、モノの生産が機械化され始めると、いろいろなモノを手に入れることこそが「豊かさ」だと考えられる傾向が強まり、20世紀には大量生産・大量販売により、その傾向が加速されました。日本の戦後の経済発展は、日本が「モノの豊かさ」において欧米に追いつく過程でもあり、また欧米に「モノ」を輸出することによりもたらされたと思います。

 日本ではそのために、教育や官僚機構、金融も含めてあらゆる体制が「モノ」による豊かさを目標にして、大きな成果を上げたのです。ところが21世紀に入る頃から、先進国において「モノ」が大量に溢れる中で、「モノ」に対する需要が限界的に飽和してきたように思います。

 もちろん飽和したからといって、モノの進化が止まるわけではありませんし、モノを全く買わなくなるわけではありません。また新興国のモノに対する需要は(モノ需要のダウンサイジングを別にすれば)これから盛り上がるところなので、世界的にはいずれまたモノ需要が増加することには異論はありません。

人間がITに取って代わられる

 ただ、先進国においては限界的な飽和感が出てきたということです。この背景には、以前触れたハードの技術革新がしばらく停滞することや、後ほど述べる「地球環境」「ネット化」といった大きな流れがあると考えられます。

 それと時期を同じくして、ものづくりに必要な「産業資本」をはるかに追い越すような「金融資本」が世界中で増殖するという、ものづくり時代の末期症状が出てきました。「産業資本」の面から見ると、1つには「IT(情報技術)化」や「安価な大量の労働力」がものづくりの劇的な効率化を促したことにより、ものづくりに必要とされる「産業資本」のレベルが一段と低くなったことと、2つには「ネット化」が進み始めたことによりほとんど実物の資本を必要としない企業が増えてきたこと、の両面から「産業資本」の重要性に影響を及ぼしたのです。

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