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「コンクリートから人へ」が景気に与える影響

「乗数効果」を知り、実際の効果を考える

  • 桑原 進

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2010年1月29日(金)

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 景気対策の内容で、メディアや金融証券市場などで最も注目されるのが財政政策の動向です。財政政策、すなわち政府支出の拡大や、減税、補助金などの所得移転などの施策は景気を改善する効果があると考えられています。

 財政政策は全体としての規模もさることながら、その構成も重要です。自民党政権下では公共事業の増加と減税を比較すれば、公共事業の増加の方が景気に即効性があり、効果も大きいとする意見も強く、バブル崩壊後の不況の中では、しばしば公共事業の拡大が行われました。

 一方、民主党は、2009年の衆議院選挙に際して「コンクリートから人へ」とのキャッチフレーズの下、公共事業の削減と子ども手当てなどの家計への補助金の増加をマニフェストに盛り込み、選挙後に成立した現政権は、公共事業を大幅に削減し、子ども手当ての創設を決定しました。

 日本経済は依然として、リーマンショック後の景気の停滞状況から抜け出せていませんが、そこでこのように政策を変更することは、景気にどのような影響を与えるのでしょうか。

 また、中長期的には、財政再建を進めなければなりません。景気への影響を最小限に抑えつつ財政支出の削減や増税を進めるためには、どのようにすればよいのでしょうか。財政政策の効果を、乗数効果という視点で見てみましょう。

まず乗数効果の基本的な考え方を知る

 大恐慌のような深刻な不況の下では、公共事業の拡大や減税が景気を改善する効果を持つ、という考え方は、1936年にケインズが『雇用、利子および貨幣の一般理論 』の中で理論的に説明したものです。

 ケインズは、不況の発生原因は、経済全体での需要不足であり、政府がその需要を補うような政策を行えば、不況を克服できるとしたのです。そして、政府購入(公共事業や軍備など)の増大は、単に、一度だけ需要を作り出すのではなく、政府が購入した財・サービスの生産者の所得の増大を通じて、消費の増加につながり、さらなる需要の増加、そして所得の増加へと連鎖していくとしています。

 このように需要増と所得増が連鎖して、最終的に引き起こす需要増の総額は最初の需要増の何倍もあるというのが乗数効果です。乗数効果は、政府購入だけでなく、減税や政府から家計への所得移転でも発生します。この場合、最初に家計の可処分所得の増加が始まり、消費が拡大し、そしてその商品を生産する人の所得の増大、次のその人の消費の拡大という形で、乗数効果が発生すると考えられています。

乗数効果は、景気をタイミングよく改善するのか?

 財政政策には乗数効果が期待できるとしても、実際に景気対策として用いるためには、様々な課題が存在します。そのひとつが、政策のタイムラグの問題です。財政政策を実行するためには、様々な手続きや多くの人の意思決定が必要であり、そのために時間が相当かかります。このタイムラグを、インサイド=ラグと呼びます。

 さらに、財政政策が実施され始めたとしても、それが需要増につながるのにも時間がかかります。

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