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「お上」への「甘え」意識に浸かった日本の弱さ

民主党政権による「破壊」が歴史に刻まれればよい

  • 立田 博司

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2010年2月2日(火)

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 毎年スイスで開かれているダボス会議が今年も開かれました。もともと米国型経営を学ぶことを趣旨として始まった会議ですが、今年は米国型資本主義に懐疑的な見方が広がり、雇用を重視する形で資本主義・市場主義の在り方や政府の役割を見直すことをテーマにしたこともあり、ニコラ・サルコジ仏大統領や新興国首脳が気を吐いたようです。

 米国では、バラク・オバマ米大統領が提案した新金融規制案に加えて、政府はさらに金融の規制強化を意図しているなど、まだまだニュースは続きそうです。これまでとは様相を一変したダボス会議に象徴されるように、前回指摘した資本主義に対する考え方の大転換や、複雑化する米中関係も含めて、これからしばらくは歴史的には新しい世界を模索する重要な時期になりそうです。

 そんな本質的な議論が世界で進む中で、日本では、日本航空(JAL)に続いてウィルコムやハウステンボスまでが、企業再生支援機構の活用が取り沙汰されています。もちろん、法的整理を前提としているという意味では進歩はしているものの、これは1990年代以降よく日本で見られた、官民一体となったゾンビ企業の延命策のようにも映ります。

 これが単なる延命策ではなく、将来につながる再編・淘汰の始まりとなるのかどうかが鍵になりそうです。この件も含めて今回は、日本が、どのような形で「新しい資本主義」に向かっていくのか、日本の「失われた20年」の根本的な問題は何だったのか、具体的に考えていきたいと思います。

「大人の資本主義」へ脱皮を

 前回指摘したように、歴史的に資本市場や資本効率に疎かった日本の資本主義は、リターンという「カネ」よりも、戦後大事にしてきた資産や「ヒト」を価値観の中心に置く資本主義(本来の意味で資本主義と言えるかどうかは別ですが)として発展してきました。米国型とは全く対極に、日本の資本主義は「ヒト」に重きを置き過ぎてあまりに「カネ」に無頓着だったということです。

 この「ヒト」を価値観の中心に置くという考え方は、企業においては終身雇用や年功序列賃金に表わされるように、安定的に働き続けることによって一生安泰であることをイメージさせる仕組みであり、少なくとも会社と従業員が一体感を持って経済が高度成長をする右上がりの時代においては、企業にとっても従業員にとっても都合がいい仕組みだったのです。

 これに加えて、政官民一体となった癒着システム、その実働部隊である中央集権的な官僚システム、そして国の資金供給源である郵政や銀行中心の金融システムといった日本の力を総動員する仕組みが、日本を戦後の驚異的な経済復興から世界第2位の経済大国にまで押し上げた原動力になったと言えます。

 ただこれらの仕組みが持っていた強みが、後に触れる世界の大きな変化の中で、1980年代のバブル崩壊を境にして弱みに変わってしまったのです。それは例えば、官僚主導の市場主義的ではない仕組み・規制の在り方からは変化に対応するイノベーションが起こりにくい、官僚の方向性が間違っていれば日本全体で間違ってしまう、あるいは「ヒト」を大事にするという前提があるが故に経済の下降局面で変化対応できない企業、といった弱さに変わってきたのです。

 さらにその背景には、個人から企業に至るまで、長年にわたる成功体験から蔓延してしまった、「自分で考えなくても国や会社のレールに乗っていればうまく行くはずだという安易な『お上』意識と『お上』に対する『甘え』意識」があり、その弱さが右下がり局面では現れてしまったとも言えます。

 この意味で、日本の資本主義は「ヒト」を価値観の中心に「し過ぎた」「甘い」資本主義から、本来「ヒト」が持っている価値を再考したうえで、「カネ」という合理性も加味する、という軌道修正が必要だと考えています。「ヒト」を大事にするということは本来、できないから助ける、甘やかすということではなく、一段上を目指して結果を出すことができるように導くことなのではないでしょうか。

 そうであれば、「お上」に「甘え」るという受け身の姿勢ではなく、社会の一員として自分で考え自律することにより自立して社会との共生を目指すという、民主主義国家の一員として当然のことを教育し、また国民に求めていくことによって、本来の意味で「ヒト」の価値を活かすことになるのではないかと思います。

 資本主義の仕組みとしても、「ヒト」を甘やかす政策・企業の仕組みから、「ヒト」にしっかりとインセンティブを持って働いてもらって、満足できる所得を得て、国のためにしっかりと税金を払うという仕組みに転換することにほかなりません。失業したら十分に手当を払い安心できる環境を整えつつ、職業訓練を義務づけて再就職や労働力の移動を促すというデンマークの仕組みは自立を促す国の在り方として参考になります。

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