「Money Globe ―  from Asia(竹島慎吾)」

アジアが直面する資本流入圧力

キャリートレードも後押し、「2つのリスク」高まる

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2010年2月4日(木)

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 1月26日、IMF(国際通貨基金)は世界経済見通し(World Economic Outlook)の改定版を発表、2010年の世界の成長率見通しを10月時点の3.1%から3.9%へ上方修正した。

 2010年の世界経済は3〜5%と目される巡航速度へ回帰し、金融危機からの回復が鮮明になる年となるだろう。

新興国の中でも回復ペースに差が生じている

 金融危機後の世界経済の回復をリードするのは新興国となりそうだ。2010年の先進国の成長率は2.1%と戦後初のマイナス成長に陥った2009年(3.2%減)から回復するものの、2010年前半の成長率は1%台と回復ペースは緩やかにとどまる見込みである。

 他方、新興国の成長率は2009年は2.1%と金融危機下でも相対的に堅調を維持、2010年は6.0%まで加速する見込みである。

 もっとも、新興国の中でも回復ペースに差が生じている。2010年の中東欧の成長率は2.0%と低成長にとどまる一方、アジア新興国の成長率は8.4%に達する見込みである。新興国の中でもアジアの高成長ぶりが際立っている。

 金融危機後の回復ペースの差をもたらす一因として、家計や企業のバランスシート調整圧力の有無があると考えられる。

 バランスシート調整圧力が残る先進国や中東欧は、危機の後遺症で本格回復に時間を要する一方、大きな調整圧力に晒されていないアジア新興国は、いち早く危機前の高成長へ回帰できる環境にあると言える。

金利差拡大を見越した資金の移動

 こうした回復ペースの差を背景に、新興国、とりわけアジアへの資本流入圧力が高まっている。

 回復ペースが速いアジアは、ベトナムがすでに利上げに転じたほか、その他についても、総じて米国よりも先に利上げに転じる国・地域が多いと見られる。そこで生じる金利差拡大を見越し、米ドルで調達した資金を新興国へ投資する「キャリートレード」の増加もアジアへの資本流入を後押ししているとみられる。

 海外からの持続的な資本流入は、企業の資金調達環境の改善や資産効果による消費押し上げをもたらす半面、2つのリスクがあると考えられる。

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著者プロフィール

竹島 慎吾(たけしま・しんご)

三菱東京UFJ銀行
経済調査室シンガポール駐在
シニアエコノミスト

竹島 慎吾

1967年岐阜県生まれ。90年東京大学教育学部卒業、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。94年米MIT(マサチューセッツ工科大学)客員研究員、2002年早稲田大学大学院社会科学研究科卒業。1991年から資金為替部で円資金ディーリング、デリバティブ業務などに携わった後、99年からアジア担当エコノミスト。香港駐在を経て、2006年8月から現職。著書に『30語でわかる日本経済』(2000年日経ビジネス人文庫、共著)『アジアのIT革命』(2001年東洋経済新報社、共著)など。



このコラムについて

Money Globe ― from Asia(竹島慎吾)

世界の成長センターとして注目を集めるアジア。めまぐるしく変化しつつ発展するアジア経済の動向について、東京・香港・シンガポールで一貫してアジア経済をウォッチしてきた筆者が独自の視点で解説する。

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