「Money Globe from NY(勝藤 史郎)」

オバマ政権がさわれない爆弾――住宅金融

改革は先送り、「救済」のロジックに詰まった大統領

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2010年2月10日(水)

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 2月1日に公表されたオバマ大統領の予算教書(予算編成方針)では、1.5兆ドルを超える史上最大の財政赤字、今後3年間の裁量支出の凍結など、財政赤字とその対策に関する項目に注目が集まった。

 しかし、予算教書にはもう1つ重大なサプライズがあった。それは現在国有化されている住宅ローンに関する政府機関(住宅公社)の再編に関する記載がなかったことである。背景を深読みすれば、政権は金融機関救済に関するロジックの矛盾に陥っているといえる。

「住宅公社」の言葉すらほとんど登場しない

 ガイトナー財務長官は昨年6月の金融監督改革案のなかで、「住宅公社の将来の役割の選択肢を検討し、2011年度大統領予算教書にて米議会と国民に報告する」と述べていた。

2009年6月17日 米財務省 「金融監督改革案」からの抜粋

I-I   住宅公社の将来の役割の決定

 (前略)
 財務省と住宅都市開発省は他の省庁とも協議して、住宅公社の将来の役割の選択肢を検討し、2011年度大統領予算教書にて米議会と国民に報告する。

 選択肢としては以下などが考えられる

1. 住宅公社を過去の形態に戻す(私企業かつ住宅取得推進の公的使命を兼ねる)。
2. 住宅公社の取り引きを徐々に圧縮して清算していく。
3. 住宅公社の機能を政府省庁に吸収する。
4. 住宅公社の利益・手数料を政府が監督し、住宅公社の債務に対して明示的な支援を行う(公益事業モデル)。
5. 住宅公社保証をカバードボンドに転換する。
6. 住宅公社を複数の会社に分割する。

 ごく最近、昨年12月28に財務省が公表した住宅公社に対する今後3年間の資本支援延長の際にも同じ予告がされていた。

 しかるに、公表された予算教書には、財務省の住宅公社に対する優先株購入など、上記の既存の支援継続に関する数字が出ているだけで、その他には「住宅公社」の言葉すらほとんど登場しない。

 米国の住宅市場は回復に向けての重大な分水嶺に差し掛かっている。特に政府や中銀の支援策の期限切れが春にかけ集中到来する時期が最大のヤマ場だ。

3年半にわたる減少からようやく増加に

 米国の住宅建設は昨年第3四半期に、3年半にわたる減少からようやく増加に転じた。昨年に入り住宅販売が増加に転じて、積み上がった販売在庫がようやく削減された。

 住宅価格も底入れの兆しが見え始めている。S&Pケースシラー住宅価格指数は、前年比ではまだマイナスの伸びであるものの、前月比では昨年6月から6カ月連続で上昇に転じている。

 住宅市場の回復の背景には様々な要因がある。大きな流れとしては金融危機が一応の収束を見せてきたことで、世の中の景況感がよくなってきたことがある。

 また、住宅価格の大幅下落や安価な差押え物件などの流入により住宅価格が個人の収入に比べて歴史的な低価格になったこともある。

回復は政府や中銀の支援策に負うところが大きい

 とはいえ、ここまでの住宅市場の回復は、やはり政府や中銀の支援策に負うところが大きい。

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著者プロフィール

勝藤 史郎(かつふじ・しろう)
三菱東京UFJ銀行経済調査室ニューヨーク駐在チーフエコノミスト

勝藤史郎1964年生まれ。87年旧三菱銀行入行。90年から国際資金為替部で為替ディーリング、94年からロンドン支店ディーリングルームで単一通貨導入などに携わった後、99年から資金証券部で資金・証券決済制度改革担当・円金利トレーディングチーフを務める。2005年2月から現職。著書に『電子コマーシャルペーパーのすべて』(共著、2004年東洋経済新報社)。

(写真:丸本 孝彦)

 



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