民主党のマニフェストでは東アジア共同体の構築をめざすとされています。また政権交代後において、鳩山総理の公式な演説を見ると、国連総会における一般討論演説や国会における所信表明演説でも東アジア共同体構想について言及し、さらにシンガポールで行われたアジア政策講演でもある程度時間を割いて触れられています。
ただしこれら演説からは東アジア共同体とはどのような共同体をイメージしているのか見当が付かず、2度にわたる世界大戦の教訓から成立した欧州連合がお手本であるという点、協力を積み重ねることでだんだんと姿が見えてくる点がわかる程度です。いずれにせよ具体的な姿が見られない以上、自民党政権下でも進められてきた東アジア共同体構想と同じなのか、根本的に違うかも見えてきません。
具体的なイメージはまだ見えませんが、ここでは東アジア共同体構想が協力の枠組みにとどまるのではなく、欧州連合のように政治的、経済的な統合まで視野に入れているとの前提で、経済的統合に絞って話を進めていきます。
通貨統合で生じる“デメリット”
地域経済統合の専門家であるバラッサによれば地域経済統合には、以下の5つの段階があります。
| (1) | 構成国の間で関税など貿易に関する障壁が撤廃される自由貿易地域 |
| (2) | 自由貿易地域に構成国の対外関税が共通に設けられる関税同盟 |
| (3) | 貿易に関する障壁撤廃に加え、労働や資本など生産要素の移動制限が構成国間で撤廃される共同市場 |
| (4) | 共同市場を基礎として構成国間で経済政策の調整がある程度行われる経済同盟 |
| (5) | 経済政策が統一されるなど完全な経済統合 |
欧州連合は、共通通貨が導入され、金融政策は各国調整の上で行われているため、経済同盟の段階にあると言えるでしょう。アジア共同体における経済的統合がどの段階までイメージされているかははっきりとは分かりません。ただし公式な場での演説などではありませんが、鳩山総理が「Voice」(2009年8月号)に寄稿した論文に「…やはり地域的な通貨統合、『アジア共通通貨』の実現を目標としておくべきであり…」とのくだりがありますので、共通通貨を導入した経済同盟まで視野に入っていると言えるでしょう。
共通通貨を導入すれば様々なメリットを享受できますが、中でも為替リスクがなくなることは特にアジア諸国と取引を行っている企業にとっては大きいでしょう。しかし共通通貨の導入にはデメリットもあります。
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