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「早期発見・早期治療でがんは治る」という医療保険の“神話”

集団検診をやめた長野県泰阜村が考えたこと

  • 内藤 眞弓

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2010年2月16日(火)

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 ほんの少し前、私たちは保険会社の不払い問題を目の当たりにしました。それにもかかわらず、医療費の不安を医療保険の加入でカバーするという行動パターンに大きな変化はないようです。最近は「先進医療特約」を前面に押し出して医療保険のニーズ喚起を行う商品が現れました。宣伝の効果なのか、「先進医療特約」を付けるために保険の見直しを考える方がずいぶん増えているように感じます。

 私はこれまで生活設計のお手伝いをするFPの立場から、医療費の不安をあおられて保険加入に誘導され、大切なお金を医療保険につぎ込むことにより使えるお金が減り、そのことが惹起する危険に警鐘を鳴らしてきました。しかし、それはまだお金の問題にとどまっていました。

 最近の保険商品の売り方を見ていると、「がんは早期発見・早期治療することにより治る病気になりました」とか、「医学の進歩により、身体への悪影響を抑えた高度な治療ができる時代になりました」「高度な治療には高額の費用がかかります」といった論法で、「先進医療」を付加した保険に加入していれば安心というイメージを振りまいています。もはやお金の問題にとどまらず、「命」の問題にまで踏み込んでいることを危惧します。このような動きも踏まえて、『医療保険は入ってはいけない![新版] 』を上梓いたしましたので、ご興味のある方は是非ご一読ください。

「早期発見・早期治療」神話の影響

 医療保険に過剰な期待を持つことの危険性は、繰り返しこのコラムでも取り上げましたし、「先進医療」について多くの方が陥りがちな勘違いにも触れてきました。今回は保険会社が振りまく「早期発見・早期治療」神話の影響について考えてみたいと思います。

 がん対策基本法が制定され、各自治体ではがん検診率の向上を目指し、多大な費用をかけて集団検診を行っています。当然ながら、検診率が向上すれば早期発見ができ、死亡率が下がる、つまり寿命が延びることを想定してのことでしょう。ところが、検診率が向上すれば寿命が延びるという科学的根拠は乏しいのが現状です。

 日本の「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン」において、検診の有効性が謳われていますが、その根拠となっているおもな疫学調査は、「がんで死亡した人と死亡していない人と比べると、死亡した人が前年に検診を受けた割合が低い」という結果から、検診により死亡率が減少したと結論付けたものです。

 このような方法を「後ろ向き症例対照研究」と言いますが、検診の有効性を評価するには、年齢や喫煙歴等の背景要因を揃えた上で、検診を受けるグループと受けないグループを分けて、その後長期にわたって追跡する前向き調査を行う必要があると言われています。

コメント7件コメント/レビュー

集団での検診と個別での検診は分けて考えるべきです。後者の、例えばPET検診や脳ドック、喫煙しながらの胸部CT検診などについての筆者の指摘は妥当でしょう。その他気になった点(1)ピロリ菌感染、胃がん罹患は欧米で少なく日本で多いこと、二重造影法や胃切除術の技術的差異も考えると、胃検診については日本のエビデンスを重視するのが適当と考えます。(2)胃がんの減少に大きく寄与しているものが公衆衛生の向上にあることは論を待ちませんが、検診群と対照群の比較による検診の効果判定ではこれらの因子は除去して検討されます。つまり別の話です。(3)医療費のかなりの部分が終末期に関わるので、泰阜村の医療費減はがん検診の中止とは関係なく、在宅医療の推進によるものと考えるのが妥当です。(2010/02/17)

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集団での検診と個別での検診は分けて考えるべきです。後者の、例えばPET検診や脳ドック、喫煙しながらの胸部CT検診などについての筆者の指摘は妥当でしょう。その他気になった点(1)ピロリ菌感染、胃がん罹患は欧米で少なく日本で多いこと、二重造影法や胃切除術の技術的差異も考えると、胃検診については日本のエビデンスを重視するのが適当と考えます。(2)胃がんの減少に大きく寄与しているものが公衆衛生の向上にあることは論を待ちませんが、検診群と対照群の比較による検診の効果判定ではこれらの因子は除去して検討されます。つまり別の話です。(3)医療費のかなりの部分が終末期に関わるので、泰阜村の医療費減はがん検診の中止とは関係なく、在宅医療の推進によるものと考えるのが妥当です。(2010/02/17)

ここで重要なことは、早期発見・早期治療は決して予防医学ではないことだ。発見されたときには10億個程に細胞が増殖している。発見して手術をしてめでたし、めでたしならいいが、その後のアフターケアが、抗ガン剤を投与して、腫瘍マーカーも異常なし。あとは経過を観察するだけでは、再発も不可能である。せっかく分子(遺伝子)生物学が、ここまで進んだのだから、この研究の成果を生かした栄養学的アプローチである分子栄養学を医学的治療に採り入れて、予防医学を実践するべきだろう。しかし、医食同源と言われるのにも関わらず、大学の医学部では栄養学は一切学ばないので、病院の食事指導などは栄養士任せで、治療に採り入れるという発想は彼らには皆無なのが非常に残念である。食事で治ったらこまる人達もおり、本気で邪魔をするだろうし、どうしたらいいのか私にはよくわからないのが現状である。(2010/02/16)

コメントのコメントですが。胃がんや肺がんは、「相応の」根拠しかありません。何十年も検診を続けているのに。ピロリ菌の減少が、胃がんの減少ですので、冷蔵庫ではなく、水道の普及です。いずれにせよ、検診とは関係ありません。普通に英語が読める人であれば、cancer.gov アメリカの national cancer center のホームページからcancer screening に関して、各種がん検診の妥当性に関して、evidence に基づいて調べることができます。(2010/02/16)

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