• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

【最終回】世界不況の出口に最も近いのは日本だ

危機感に乏しい米国、期待感で成長する中国の危うさ

  • 立田 博司

バックナンバー

2010年3月30日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 第1回目の「人生の相場観を持てば、もっと豊かになれる」において、日本は「生みの苦しみ」を味わいつつも、その後には生まれ変わった「新しいニッポン」が誕生すると述べました。そして、「新しいニッポン」を考えるに当たっては、「世界観」と「歴史観」の双方で「大局観」をしっかりと持つこと、トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチ、部分最適と全体最適の考え方を融合させること、さらには経済も社会も政治もすべて「人間」の営みであるから人間の心理も含めて複雑系で動態的に考える必要があること、という指針を示しました。

 この指針に沿って、世界で起こっている様々な事象の歴史的・世界的な意義を20回にわたり考察してきました。最終回となる今回は、全体を総括して来るべき「新しいニッポン」の姿を描き出していきたいと思います(詳細については、これまで述べてきた部分を参照ください)。

医療と金融、2大改革に挑む米国

 米国では先週、歴代の大統領が何度も挑戦しながらも成し遂げられなかった医療制度改革法案が成立し、改革が始まりました。残念ながら当初描いていたような国民皆保険の姿とは違ってしまいましたし、もしかしたら将来(今の日本の郵政改革のように)骨抜きにされることになるかもしれませんが、高所得者層しか満足な医療を得られないという「格差」を是正する第一歩を踏み出した歴史的な意味はとても大きいと思います。

 バラク・オバマ政権はさらに、中間選挙までには金融制度改革についても法案化する姿勢を見せており、この30年間の格差拡大の象徴的な2つの改革を成し遂げられれば、歴史に名を残す大統領として後世に覚えられることでしょう。

 私は、リーマンショックという世界的な大事件の最中に、米国では民主党からオバマ大統領が生まれ、それと軌を一にして日本においても(その中身は別にして)民主党政権が誕生し政権交代が実現したということは、日米だけではなく、世界の大きな転換点を示すものではないかと考えています。それは私たちが、100年、50年、30年という大きな歴史的循環が重なっている大きな転換点に生きているからなのです。

 歴史を紐解くと、20世紀は米国が覇権を確立した100年だったと言えます。18世紀後半から19世紀前半の産業革命以降、「近代工業社会」を体現してきたのは19世紀の英国でしたが、20世紀に入ると2度の世界大戦と冷戦、そして冷戦の終結を経て覇権を握ったのは米国でした。20世紀前半には内燃機関(エンジン)をコア技術にして自動車をはじめとした新しい産業群を生み出し、20世紀後半には半導体を使ったコンピューターとブロードバンド通信によってIT(情報技術)産業という一大産業群を生み出した結果、20世紀末には政治・文化・社会・経済・軍事のいずれの面においても米国一極集中という栄華を極めたのです。

 一方で日本も、戦後の荒廃の中から米国を目指してものづくりに励んだ結果、1990年には世界第二の経済大国にまで成長することができました。日米がその経済力を謳歌していた1990年代前半に、中国は社会主義を維持しながらも市場経済化を導入して近代化・工業化を強力に進めたことにより、水面下では「近代工業社会」の中心が日米欧といった先進国から中国をはじめとした新興国に移り始めていたのです。こうした流れを背景に、21世紀が始まってまだ10年ではありますが、私は21世紀の覇権が100年間という長い時間をかけて中国に移るのではないかと考えてきました。

 20世紀に企業主導による「大量生産・大量消費型」の「近代工業社会」が生み出した日米欧の先進国は、21世紀には成熟経済に移行して消費者主導による「少量多品種カスタムメード型」の「ポスト近代工業社会」の姿を模索することになり、世界の成長を主導する覇権国の座は米国から中国に渡ることになるということなのです。

 その過程で、世界の中で新興国に生産と消費の中心が移っていくことによって、必然的に世界レベルでの破壊的イノベーションが起こるので、新興国の需要が増す稀少なモノの値段は上がりやすくなり、加工されたモノの値段は新興国価格に鞘寄せ(さやよせ)されやすくなる可能性が高く、消費者物価ベースではなかなか価格が上がりにくい、あるいは下がるというデフレ傾向が世界的にしばらく続くのではないかと思っています(これに加えて、後ほど述べるネット化も強力なデフレ要因です)。

コメント7

「立田博司のニッポンの本流と奔流」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長