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資本主義にはいろんな形があっていい

「ゲーム理論」について政策研究大学院大学・安田洋祐助教授に聞きました(上)

2010年4月21日(水)

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経済学で、何だか難しそうな印象もあるゲーム理論。だが、ゲーム理論では、企業戦略から資本主義まで、幅広いテーマを理論的に分析することができる。ゲーム理論の面白さについて、政策研究大学院大学の安田洋祐助教授に語ってもらった。

(聞き手は日経ビジネス記者、広野彩子)

安田 洋祐氏の写真

安田 洋祐(やすだ・ようすけ)
2002年東京大学経済学部卒。2007年、米プリンストン大学経済学部より博士号取得(Ph.D.)。同年より現職。専門は産業組織論、ゲーム理論。編著書に『学校選択制のデザイン―ゲーム理論アプローチ』。最も権威のある国際的な経済学の学術誌「American Economic Review」に、ゲーム理論を応用した学校選択制研究が掲載予定。
(写真:宮原 一郎 以下同)

―― まず、従来の経済理論と比べて、ゲーム理論は画期的であると言われていますが、どのような点が画期的だったのか教えてください。

安田 経済学者には、複雑な社会現象や経済現象を分析する時、どうにか単純化して数理的に分析をしたいというモチベーションがあります。しかし現実の現象を単純化するのは、とても難しそうに思えますよね。

 経済の問題だけでなく、人と人とのつき合いや、企業の部署間での足の引っ張り合いのようなものも、できれば理論的に解き明かしてみたいと思うもの。でも、そうしたことを研究対象としてどう切り取るかは、実に難しい。かつては、こういったテーマについては、数学や理論的な分析が出る幕はあまりなく、何となく観察して分析するしかない状況でした。その流れをがらっと変えたのがゲーム理論だったのです。

 それまでの経済理論と何が違ったのか。それは、ゲーム理論という名前の由来となっている「ゲーム」にヒントがあります。ポーカーとか、普通にイメージできるいわゆるゲームです。ゲームを考える上で何が重要かというと、まず参加者がいて、彼らが自分の出番のときに何ができるかという戦略、つまり行動の選択肢が、あらかじめきちんと決まっている点です。

冷戦下の国家間の争いを分析するのに使えるという期待

 ゲームの参加者がいて、各人が戦略を持っている。お互いがそれぞれに戦略を実行しあい、最終的な結果へと落ち着いていくわけです。結果は、カードゲームの場合、得点だったり勝ち負けだったり、チップだったりしますね。

 カードゲームに代表されるゲームの戦略と結果の表れ方に関する法則が、現実の社会現象や経済現象でもぴったり当てはまるのではないかと思いついたのが、原爆の父、あるいはコンピューターの父と言われる万能科学者ノイマンと、経済学者モルゲンシュテルンの2人でした。

 彼らが1944年に『ゲームの理論と経済行動』という大著を書き、そこからゲーム理論という学問分野が本格的に始まりました。彼らの直感は、一見すると複雑な経済現象や社会現象も、参加者・戦略・得点という要素を抜き出すことで、あたかもカードゲームと同じように「ゲーム」として理解し、分析できるのではないかというものです。

 しかし残念ながらノイマンとモルゲンシュテルンは、ゲームの結果がどうなるのかという肝心の「答え」、つまり結果の予測の部分に対して、あまりしっかりした理論を提示できませんでした。その大きい穴を埋めたのが米プリンストン大学に在籍するジョン・ナッシュ博士です。彼が1950年に書いた博士論文の中で生み出した「ナッシュ均衡」という概念は、結果の予測に関する「答え」を提示して、その後のゲーム理論の発展と応用を支える原動力となりました。

 このナッシュの偉大な発見の後に、ゲーム理論は世間の注目を集めることになりました。冷戦構造の中で緊張の高まる国家間の争いの分析に、ゲーム理論が使えるかもしれない、という期待が高まったからです。

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「資本主義にはいろんな形があっていい」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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