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保護主義の温床、国有企業

外資系には見えない壁、4兆元刺激策で深まるジレンマ

2010年5月11日(火)

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 「相手は国有企業。あまり露骨に叩きに行くと、どんなしっぺ返しがあるか分からないんですよ」

 ある日系流通業の中国現地法人トップが、こう、こっそり教えてくれたことがある。商売上のライバルとなる国有企業、そしてその背後にある中国政府の機嫌を損ねては、この国で商売はとてもやっていけない、という意味である。

店員が弁当を食べたり、釣り銭を投げたり

 中国の流通市場はWTO(世界貿易機構)加盟後に外資系企業に開放されている。仏カルフールや米ウォルマートなどを筆頭に、世界中の企業が激しい競争を繰り広げている。

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 ただ、その市場の一角を国有企業が占める。スーパーやコンビニエンスストアなどを手広く展開する百聯集団がその代表例だ。店舗の運営ノウハウでは外資系に及ばないものの、店舗数は圧倒的に多く、かつて市場を独占していたことによる既得権をがっちりと守っている。

 セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなどの日系コンビニが進出している上海では、街中に現地チェーンのコンビニ店舗も目立つ。そうした現地チェーンを実際に利用してみると、日系コンビニとの大きな違いに気がつく。

 商品や陳列方法もあるが、何よりも違うのが店員の態度だ。来店客に挨拶するどころか、レジの中で弁当を食べていたり、店員同士で大声で話していたり、釣り銭を投げて渡したり。最近でこそ改善してきているが、いまだに「中国式」が色濃く残る。

工場ワーカーがコンビニ店員に

 なぜそこまで違うのか、その歴史に理由がある。

 「社会主義市場経済」へと舵を切った中国は、1990年代半ばから国有企業改革に取り組んできた。業績が悪化した国有企業は整理統合し、余剰人員の整理を進めた。流通業は、工場閉鎖などで職場を失った国有企業の従業員の雇用の1つの受け皿となった。

 国有系スーパーやコンビニの店員に年配の女性が多いのも、以前は工場などで働いていたワーカーが少なくないからだという。サービス精神がないのもうなずける。

 このように、国有企業は上場企業として「株主の利益を追求すべき存在」であると同時に、「雇用の受け皿として社会に組み込まれた国民の公有財産」としての2つの顔がある。表向きは市場開放されたとはいえ、外資系企業に市場を席巻させるわけにはいかない。

 そのため、あの手この手の“援護射撃”もある。

コメント3

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「保護主義の温床、国有企業」の著者

熊野 信一郎

熊野 信一郎(くまの・しんいちろう)

日経ビジネス記者

1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長