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英総選挙に米国の近未来を見た

「与える」から「奪い取る」政策への転換点

  • 安井 明彦

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2010年5月27日(木)

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 5月6日に投票が行われた英国の総選挙。選挙期間を通じて、米国の関心はことのほか高かった。「特別な関係」と言われる2国間の歴史的なつながりだけが理由ではない。米国人がそこに「米国の近未来」の姿を感じ取ったからだ。

 明確な勝者がないままに終わった英総選挙の結果から伝わってきたのは、先進国に共通する「政治の行き詰まり」の予兆だった。

「小さな政府」がダメなら「大きな社会」?

 米国が英総選挙に向けた関心の1つは、「保守復権」の道筋にあった。

 経済金融危機によって市場の限界が印象づけられた今、「小さな政府」を金科玉条としてきた保守陣営は岐路に立たされている。それでなくても米国の共和党は、2006年の議会中間選挙以来、国政選挙で敗北を重ねてきた。今年11月の米議会中間選挙が視野に入る中で、一足早く復権を果たそうとした英保守党の取り組みに、共和党復権の鍵を探そうとしたわけだ。

 米国の共和党にすれば、英保守党の戦略は「いつか来た道」だった。

 キャメロン党首は、保守党の冷徹なイメージを変えるために、貧困や環境といった問題を積極的に論じていった。保守主義に人間的な風味を加えようとする戦略は、共和党のジョージ・W・ブッシュ前政権が進めた「思いやりのある保守主義」を髣髴(ほうふつ)とさせる。

 米国で大きな論点となっている「政府の役割」についても、キャメロン保守党が提唱する「大きな社会(Big Society)」の考え方には、前ブッシュ政権の「オーナーシップ社会構想」との近さが感じられる。

 オーナーシップ社会構想とは、経済の様々な局面での意思決定を政府ではなく個人が主導することが可能になるように、政府が個人による資産形成を支援するという考え方だ。公的年金の一部を加入者が市場で運用できるようにしたり、個人による医療費の積み立てを支援して、費用対効果の高い医療を個人が選べるような仕組みを提案した(拙稿「ニュー・ニューディールの胎動」参照)。

 保守党が社会問題への取り組みを重視するといっても、政府がその主役となるわけではない。むしろ「大きな社会」の考え方では、貧困をはじめとする社会問題の解決に、地域団体などの「社会」の自発的な関与が求められる。貧困からの脱出の鍵となる教育の分野では、政府ではなく生徒の親たちに学校運営の機会を与える。地域の安全の確保でも、地域の住民が積極的に関わる姿が描かれる。

 とはいっても、「大きな社会」における政府の位置づけは、「とにかく政府は小さい方が良い」というような、従来型の小さな政府論とは色合いが違う。

「保守復権」の道筋が描けない

 キャメロン党首は、「社会を変えるためには、国を使わなければならない」と主張する。具体的には、「大きな社会」における政府の役割は、社会問題に取り組む起業家(社会企業家)の支援などを通じて、「社会」の育成を進める点に求められる。

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