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「増税でも成長は可能」は真理

公共サービスか財政緊縮か、で揺れる米国

  • 勝藤 史郎

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2010年6月14日(月)

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 ニューヨークの公共交通機関は快適には程遠い。筆者が利用する、ニューヨーク州郊外とマンハッタンをつなぐ海岸沿いの通勤路線は、車両が古く汚れている。トイレのある車両には異臭が充満し、パンタグラフや電線の故障による遅れや途中停車は日常茶飯事だ。さらに、真夏の季節に冷房がしばしば平気で故障するのには閉口する。

 長く暮らしているとこうしたことも慣れっこになっていて「そういうものだ」と通勤客はみな、予め電車の遅れのリスクを「織り込んで」淡々と通勤している。

さて、MTAの無駄排除を強く訴えるべきか

 この路線には自動改札システムがなく、各車両に乗務する車掌が切符を切りに来る。一乗客としては、この多大な固定人件費節約と乗客サービス向上のために、なぜ自動改札を導入しないのかと自然に考えたくなる。

 ニューヨーク州都市交通局(MTA)はこうした郊外通勤電車のほか、ニューヨーク市地下鉄などを含む公共鉄道・バスの運営主体である。そして多くの公共交通機関の例に漏れず、年間4億ドルの赤字経営になっている。さらにこうしたMTA職員の高給も話題になっている。

 ニューヨークの調査機関がMTAの公表データを集計した結果によれば、2009年には職員の10%に当たる8074人が残業手当等も含め10万ドル以上の給料を受けとっていたという。この中には経営者レベルばかりでなく、車掌・技術者などが多く含まれているという。MTAは赤字削減のため、残業代のカットなどを進めようとしている。しかし職員組合の力が強く、なかなか削減はすすまないようだ。

 よくある公共サービスの歳出拡大の構造だ。さて、この電車の利用者として、MTAの無駄排除を強く訴えるべきか。

削減しても10年後に1兆ドルの財政赤字が残る

 確かに、財政赤字とムダの根源として公務員叩きをすることは容易だ。しかし、叩けば事態が解決するというものでもない。

 欧州財政危機表面化のきっかけとなったギリシャでは、公務員の厚遇が財政赤字の1つの大きな要因だった。公務員給与凍結などに反対する公務員デモが一時は社会危機にまで発展した。ただギリシャの場合、公務員に限らず、ほかの欧州各国に比べ賃金上昇率が著しく高い。また充実した年金制度など、労働者や高齢者に手厚い社会制度となっている。ギリシャの公務員や労働者厚遇には他国と比べた場合の「行き過ぎ」もあろうが、それはレベルの問題である。財政破綻の一因には一般国民への配分もあるのだ。

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