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オバマ、企業規制の鬼に?

金融危機、トヨタ問題、原油流出で流れは逆転

  • 安井 明彦

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2010年6月24日(木)

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 6月15日、バラク・オバマ米大統領が大統領執務室から全米向けのテレビ演説を実施、メキシコ湾の原油流出事故への連邦政府の対応を説明した。

 大統領執務室からの演説は歴代大統領が最も大事にしてきた舞台。金融危機やアフガン増派といった深刻な問題でも使わなかった「伝家の宝刀」を、ついにオバマ大統領が抜いた。発生から2カ月を超えた今回の事故が、オバマ政権にとってそれだけ深刻な問題になっていることを意味している。

 AP通信が6月9日から14日にかけて実施した世論調査では、「連邦政府の対応が事態を好転させた」という回答が2割を下回った。15日の演説でオバマ大統領は、まるで戦争に臨む司令官のような言葉を使って、断固とした姿勢で事故に対応する意向を表明した。

規制強化の流れに拍車かかる

 米国の政策運営の方向性としては、原油流出事故が規制強化の流れを一層加速させるのは確実な情勢である。15日の演説でオバマ大統領は、油田開発を監督する内務省鉱物資源管理局(MMS)の改革を表明、事故の原因究明を待って安全規制の強化を進める意向を示している。

 それでなくても米国では、金融危機やトヨタのリコール問題といった一連の出来事を契機に、規制強化の機運が高まっている。環境規制や食品・玩具の安全規制などを含め、ジョージ・W・ブッシュ前政権下で進んだ規制緩和の流れを一気に逆転させるかのように、規制当局の動きが活発化している。

 もっとも現実には、危機を的確に防止する規制の設計は容易ではない。「規制を強化しさえすれば、危機は未然に防止できる」というような単純な議論は、経済に過大な負担をかける拙速な規制改革につながる危険性と背中合わせだ。

 オバマ政権はこうした規制の功罪を誰よりも意識していたはずである。政権発足当初からオバマ政権は、効果的な規制のあり方を探る試行錯誤を続けてきたからだ。

 オバマ政権の規制行政には三つの柱がある。第1は行動経済学の応用、第2は規制の費用便益分析の重視、第3に開かれた規制行政の実現である。

 行動経済学の応用とは、「人間は経済理論どおりには行動しない」という現実を念頭に置くことを意味する。

 今回の石油流出事故の場合ならどうだろう。経済理論どおりに物事が進むのであれば、事故の責任を問われている英BPは深海油田の掘削に伴うリスクを見越した備えを事前に講じていたはずである。しかし実際には、BPはこれだけの規模の原油流出に対処するだけの技術や資材を用意していなかった。

過小に見積もられていた原油流出リスク

 行動経済学の考え方を適用すれば、こうしたBPの行動は説明がつきやすい。人間には「発生する可能性が低いリスク」を過小に評価する傾向があるからだ。「想像し難いリスク」に対する備えは、どうしても不十分になりがちなのである。

 高度化した現代の経済では、「発生する可能性が低いリスク」への備えが規制行政の重要な課題になる。複雑で大掛かりな仕組みになるほど、いざ事故が発生した場合の損害は甚大になる。それだけでなく、小さな事故が連鎖的に積み重なって結果的に大きな危機を招くことも少なくない。

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