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中国人の上司がやってくる

異質な者どうしの交流から活力が生まれる

  • 酒井 耕一

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2010年6月23日(水)

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 成長市場の中国を軸に社内のグローバル化を進める――。工業用シール材製造の日本バルカー工業はそんな方針の下で人材育成に励む。

 1997年に中国に人材研修センターを開設したほか、2009年からは海外の人材を世界の拠点で活用するグローバル人事制度を始めた。

 瀧沢利一社長は日本の若手社員との懇親会で「中国人の上司が来るかも知れないぞ」と話すなど社内の様々な場所で、意識改革を促している。その狙いを瀧沢社長に聞いた。

(聞き手は酒井耕一=日経ビジネス副編集長)

 ―― 日本バルカー工業は工業用シール材の最大手で、アジアを中心に海外展開もしています。2007年に中国・上海に人材開発センターを設けるなど、海外では事業展開に加えて、人材の育成にも力を入れています。その内容と狙いは何ですか。

日本バルカー工業の瀧沢利一社長(写真:清水盟貴、以下同)

 瀧沢 当社はすでに創業から80年を越え、1500人の従業員のうち、すでに半数が外国人。中国には450人ほどいます。産業機器やエネルギー、半導体、自動車などの業界向けに素材製品を作っており、タイや中国、ベトナムに工場があります。

 生産拠点としての重要性も海外工場はますます高まっています。当社が「バルカーウェー」と呼ぶ社風もグローバル化で大きく変わっていく。これから会社が成長できるかそうでないかは、人材にかかっていると考えました。

 そんな問題意識で開設したのが、研修の場である上海の人材開発センターです。私はかつて中国拠点の開設にも関わっていたので、思い入れは強いのです。

笑ったり怒ったり、長い会話から信頼関係を築く

 現地には中国の工場や販売会社、研究開発拠点などで働く中国人に加えて、現地駐在の日本人18人がおります。全員がセンターでの研修の対象になります。

 中国人の従業員に対しては、日本のコンプライアンスについて、職場での協力の大切さなど日本企業の経営について教えています。内容は現地の幹部にかなり任せています。企業理念や社史なども学んでいるようです。「日本バルカーの5年後の姿」といった将来構想も考えながら、従業員の役割の高まりについても議論します。

 日本人駐在員も中国の歴史や文化、モノの考え方などを学びます。そして中国人社員と一緒に将来の事業プランなどを議論しています。私はいつも「将来はあなたたちが組織を運営していく」と言っています。

 ―― 研修強化の手応えは感じていますか。

 研修をする前から、私は日本でも海外でも社員との交流に力を入れてきました。若手社員とも積極的に話す機会を設けています。

 中国でも年に何回か3~4時間、議論しています。コンプライアンスについて話すときもあれば、文化論もあります。時には笑ったり、時には怒ったり、長い会話から信頼関係を築く。その下地があってこそ、研修も機能するのでしょう。

社内の連帯は国境を超える

 当社では年1回、自社の創業理念について、各国の社員が発表する大会を開催しています。なんと昨年は1位と2位を中国人社員が独占しました。

 そして中国の社員が自分たちのことを、「バルカー人」と言うようになった。社内の連帯は国境を超えているのです。もちろん仕事での成果もあります。中国・上海にある研究開発センターからは新製品が生まれるようになりました。それだけ現地の開発力が高まっているのです。

 ―― 中国を始め、海外拠点の人材強化は経営のグローバル化に加えて、日本人社員の意識改革も促しているとか。

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