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ヒゲまで剃れる!「体験」を売る中国最新の家電店

蘇寧電器の孫為民総裁が語るラオックス出資の真意

  • 坂田 亮太郎(北京支局長)

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2010年6月28日(月)

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 「面倒くさいな~」。中国で家電量販店に行くと、自然に愚痴がこぼれ出す。どことなくうす暗い店内。客がいるというのにおしゃべりや携帯電話に興じる店員。もうこれだけでも買う気は失せるが、極め付きは店内のレイアウトの悪さだ。

 中国の家電量販店はメーカーごとに売り場が分かれており、冷蔵庫を買いに行ったとしても各社の売り場を見て回らないといけない。しかも売り場に立っている店員はほぼメーカーから派遣されているので、客観的な商品情報は期待できない。

蘇寧電器はラオックスの何を求めたのか

 一方、日本の家電量販店はどうだろう。例えばデジタルカメラの売り場をのぞいてみる。各メーカーの商品が売れ筋ごとに陳列されているのは当たり前。「運動会で活躍するカメラ」とか「夜景が奇麗に撮れるカメラ」など、消費者の目的に合わせて展示を変えている店舗もある。

 商品に添えられた手書きのPOP広告にはその商品の特徴が簡潔に書かれている。それでも分からなければプロフェッショナルな知識を持った店員に相談することだってできる。

 そもそも日本の家電量販店は売り場そのものが情報の固まりだ。商品を見て回るうちにトレンドが自然と把握できるし、2ギガバイトのSDカードに写真が何枚記録できるかなんてことも表にまとめてあったりする。もちろん、実際にカメラを手に取って試し撮りすることもできる。

 この日本では当たり前のサービスに慣れた目からすると、中国の家電量販店はいかにも物足りない。最近でこそ北京や上海など大都市の店舗は改善されてきてはいるが、まだまだ1歩も2歩も足りない。

 そこで優れた日本のノウハウを吸収するため、中国最大手の家電量販店である蘇寧電器がラオックスの筆頭株主となった。ラオックスは最近でこそ業績不振が続いていたが、電器の街「秋葉原」を代表する電気店の1つだった。蘇寧電器はラオックスの何を求め、そしてラオックスは蘇寧電器の何を学ぶべきなのか。江蘇省南京市にある同社の本社を訪ね、孫為民総裁に聞いた。

☆      ☆      ☆

 ―― ラオックスの第三者割当に応じる形で、蘇寧電器は2009年8月にラオックスの筆頭株主(27%)になりました。経営不振に陥っていたラオックスを傘下におさめた理由を、改めてうかがいたい。

  日本の優れたプラットフォーム(基盤)をそのまま利用できること。そして世界でも先進的な日本の家電業界の経験やノウハウを活用できること。この2つが買収を決めた理由です。

孫為民(スン・ウェイミン)氏
1963年生まれ、47歳。北京師範大学卒業。南京理工大学で教鞭を執っていたが1998年に蘇寧電器に入社。創業者の張近東会長に抜擢されて、2004年に総裁に就任(南京市の本社にて、撮影:町川秀人)

 ご存じのように、日本ではかつて家電製品の販売はメーカーの専売店が主流でした。松下(電器産業、現パナソニック)などは最盛期には日本全国に2万店もの系列販売店を持っていて、メーカーが小売りにおける決定権を持っていました。ここで言う決定権とは、お客さんに対してどのような商品情報を提供するか。そして自社商品をいくらで売るかということです。

 ところが1980年代から電気店やカメラ店が台頭してきて、90年代の半ばには総合化と大型化を進めてきました。それは業態の変革とも言うべきもので、その結果小売りの決定権を店側が握るようになりました。

 その結果、売り場にどのような変化をもたらしたでしょうか。

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