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日本の家計貯蓄率は“先進国では最低”

【第3回】「国民経済計算(GDP統計)」の読み方

2010年7月2日(金)

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 今回は、日本の経済全体の循環と経済成長についてお話しましょう。
 日本の経済活動を考える際は、「誰が」と「何をしているか」の2つで考えます。

 この「誰が」については4人しかいません。1つは家計です。所得を得て、消費生活をしているのが家計です。次は企業です。企業は人を雇って生産活動をし、作ったものを消費者に売ります。そして政府。これは国から税金を集めていろいろな公共サービスを提供します。そして4人めが海外です。

 家計、企業、政府は実際に存在します。一方、海外という主体はありません。経済主体を考える際は、海外という人がいると考えます。

 「何をしているか」については3つしかありません。1つは生産(または供給)です。企業は人を雇って生産活動をし、政府は公共サービスを生産していると考えます。それから所得。働いてお金を稼いだり、企業が収益を得たりすることが所得です。3つめが支出(または需要)です。お金を使うことです。

 経済活動というのは、4人の人が3種類の経済活動をすることで成り立っています。この全体像を見るときに有用なのが、国民経済計算(GDP統計)です。内閣府がこれを作っています。以下では、内閣府が作った「平成19年日本経済の循環「2.参考図表」の25ページを見てください)」の数字をもとにお話しましょう。

日本の経済活動の規模は500兆円

 まず、日本の生産(財貨・サービスの供給)が1004兆円。ここから中間投入をのぞいた付加価値の合計は506兆円です。これが日本経済全体の規模です。日本の経済全体の生産活動の規模はおよそ500兆円ということです。

 この付加価値506兆円はいくつかに分解されて誰かの所得になります。付加価値については後で説明します。

 その1つが「営業余剰、混合所得」(94兆円)で、これは企業の所得です。企業の収益ですね。2つ目が「雇用者報酬」(264兆円)、賃金です。このほか、「生産・輸入品に課される税-補助金」(40兆円)、「固定資本減耗」(107兆円)です。このように、所得は主に企業が収益として受け取るか、家計が賃金として受け取るか、税金として払うかに分かれます。

 付加価値のうち、国民が自由に使える所得が「国民可処分所得」で415兆円です。これは消費と貯蓄の2つに分かれます。最終消費支出として消費に使ったのが382兆円です。一方の貯蓄は投資になります。住宅や工場を建てるのは投資ですから、投資は支出です。支出したということは必ず誰かが生産しているということです。

 例えば、200万円の自動車を買ったとします。それは、200万円の自動車を生産している人がいる。200万円払ったわけですから、200万円は必ず誰かが受け取っている。受け取ったものは企業が受け取るか、家計が受け取るかに分かれます。

 企業にせよ、家計にせよ、受け取ったものは使うか、貯金するかになります。使った部分は、貯金か投資に回った分と直接消費に回った分とを合わせて支出になる。それは生産に結び付く。このように、経済は回っているのです。

生産・所得・支出の3つは「等価」である

 ここで大変、面白いことがあります。三面等価という原則です。3面というのは生産・所得・支出の3つのことですが、日本経済はこの3つの側面で捉えることができ、この3つは等価であるということです。

 何か経済活動をすれば、生産と支出と所得が一緒になって動きます。何かをやるたびに、生産と支出と所得が同じ金額だけ動いていくので、経済全体でそれぞれの項目を足すと結果は同じ金額になるというのが三面等価の原則です。

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「日本の家計貯蓄率は“先進国では最低”」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士