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すでに日本は中国に抜かれてしまった

【第4回】経済成長の意味と購買力平価で見た所得

2010年7月9日(金)

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【第3回】から読む)

 前回は、日本経済の循環の姿を見てみてみました。今回は、経済成長がなぜ必要なのかについて考えてみましょう。

 経済政策の重要な目標は3つです。経済成長、物価の安定、そして完全雇用です。完全雇用とは、働きたい人に働く場があるということです。では経済成長、つまりGDPが増えることはなぜ重要なのでしょう。必ずしも経済は成長しなくてもいいのではないか、という人もいます。

 ただ、経済学者はだいたい経済成長は重要だと言います。その理由は、前回述べた、経済の3つの側面と関係します。三面等価について解説しましたが、GDPが増えることは生産が増えることで、生産が増えれば雇用機会が増え、働く場が増えることにつながります。これはとても重要です。現在、大学を卒業してもなかなか就職できなくて困っている若い人が多い状態ですが、これは経済が拡大しなくなってしまい、就職機会が少なくなってしまったからです。

 またGDPは、所得でもあるので、経済が成長すれば所得が増えます。多くの人は、所得は増えないよりは増えた方がいいと思っているでしょう。そしてGDPが増えると支出が増えます。消費に使うお金が増え、消費水準が上がるということです。

 このように考えると経済が成長することはいいことだという結論になるのですが、もう日本は十分豊かになった、環境に負荷をかけるのもよくない、ゼロ成長でもいいではないか、という主張もあります。

 私はこのような話を聞くと、「本当にそう思っているのかな?」と思います。本当にもうこれ以上、所得はいらないですと言う人はいるでしょうか? 本音のところでは、誰でも所得はもっとあった方がいいと考えているでしょうし、生活水準も上がった方がいいと思っているはずです。そうであるなら、やはり経済は拡大した方がいいのではないかと思うのです。

成長率は「実質」で見る

 GDPには、短期的、つまり毎年どれぐらい成長するかという話と、5年、10年でどれぐらい成長していくかという長期の話の両方があります。

 6月10日の日本経済新聞を見ると「GDP実質5.0%成長」という数字が出ました。日本では四半期に1回、つまり1年に4回、GDP計算をして発表します。6月に出たのは、1~3月期の数字です。これは短期的なGDPの話です。

 では、「実質」の意味は何でしょうか。名目と対になる概念が実質で、成長率は実質で見ます。名目との違いは、物価を割り引くかどうか。名目は我々が実際に見ている金額そのもので、実質は物価を調整して実質にしたものです。

 例えば名目で経済が5%拡大したとします。一方で物価が2%上がっていれば、5%増えた金額のうち2%は単に物価が上がっただけです。このため、物価が上がった分を調整し、本当の意味では3%成長した、というのが実質という概念です。つまり物価が上がって増えた分は水膨れしただけなので、物価の部分を調整しなければいけないという考え方です。

 では、「実質5.0%成長」とはどんな意味でしょうか。新聞を見ると「物価変動の影響を除いた実質で前期比1.2%増。年率換算すると5.0%」という文章が出てきます。これは、1年を4つに分けて1~3月を前の年の10~12月と比較すると1.2%増えたということですが、これは1年の4分の1を使って1.2%増えたということです。これが1年続いたらどうかと計算したのが、5.0%という数字で、これが年率です。

 この計算は複利計算なので計算は面倒ですが、簡単に言えば4半期の数字を4倍すればいいのです。1.2%を4倍すれば4.8%と、およそ5.0%となります。では、この5.0%という数字をどう評価するかです。日本の成長率は最近、2%程度です。従って5.0%という数字は高いと考えていいでしょう。普通より高めの成長率が出たということです。

コメント14件コメント/レビュー

「本当にもうこれ以上、所得はいらないですと言う人はいるでしょうか?」・・・います。所得よりも大事なものがあるからです(例えば時間)。そのあたりの議論になると、どうも経済学者はうやむやにしてちゃんと技術的な議論をしてくれません。残念です。(それともできないのかもしれません;だったらそのように言って欲しいです)(2010/07/13)

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「すでに日本は中国に抜かれてしまった」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

「本当にもうこれ以上、所得はいらないですと言う人はいるでしょうか?」・・・います。所得よりも大事なものがあるからです(例えば時間)。そのあたりの議論になると、どうも経済学者はうやむやにしてちゃんと技術的な議論をしてくれません。残念です。(それともできないのかもしれません;だったらそのように言って欲しいです)(2010/07/13)

競争する必要は全くないと思う。中国にも日本にも国民がよい生活を出来るように頑張っているから、共によくなってほしい。(2010/07/13)

国民の所得は正規分布していません。平均と標準偏差では解析できません。(2010/07/12)

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