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岐路に立つ社会保障、「長命化リスク」に備えはありますか?

少子高齢化・成熟経済化が資産形成に与えるインパクト

  • 立田 博司

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2010年7月8日(木)

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 さてこれまで、個人が自分で資産運用をするのはたいへん難しいこと、長期投資をするにはその時期を選ぶ必要があること、その前提として大局観という軸を持って将来予測をすること、が大切であると述べました。それは分かるけれど、そんなことは普通の生活をしている個人には到底無理だ、だからこそ任せたい金融機関だが、「信頼」を見失った今の金融機関には頼りにならない、ということまで話を進めてきました。

 今回以降は、個人が資産を積み上げ増やしていく資産形成市場の現状と課題について具体的に概観し、金融のあるべき姿を探っていきたいと思います。そこでまずは、日本の社会保障のあり方も含めて、成熟経済での少子高齢化が資産形成市場に与える意味から考えていきます。

マイナスの貯蓄率が定着する可能性もある

 いよいよ参議院議員選挙の選挙日が近づいてきました。鳩山由紀夫政権から菅直人政権への電撃的な交代から、支持率の急回復そして今では消費税増税の是非や議席数の読みといった少々短視眼的な話題でメディアは持ち切りです。ただ日本国民としては、目先のことばかりに惑わされることなく、これからの世界はどこへ向かうのか、その中で日本はどうあるべきなのか、大局観を持って選挙に臨むべきではないかと思います。

 公的年金制度や健康保険、介護保険制度といった社会保障制度は、民主党が政権交代を果たした時のマニフェスト(政権公約)、管政権が掲げる「強い財政、強い社会保障、強い経済」という目標でも触れられています。日本の現在と今後の財政赤字に占める比率が高いだけに、選挙においてもそのあり方が大きな争点になりますし、消費税増税の議論も全体の中で「なぜ今増税が必要なのか」を判断すべきでしょう。

 日本では、戦後の高度経済成長の右上がりの時期までは、国の財政も企業の懐も豊かで拡大し続けていたので、特に社会保障関連費用の「将来へのツケ」は先送りしても何とかなると思われていました。ところが1990年代以降、経済が成熟化して所得が頭打ちになる中で、出生率が下がり続け少子化が鮮明になるとともに、生活水準の向上や医療の進歩で平均寿命が伸びる長命化が進みました。

 高齢者を支える現役世代は増えないのに引退世代は増え続けるという、少子高齢化社会が現出したのです。しかも日本の高齢者が人口に占める比率(高齢化比率)が、先進国の中でも最も速く最も高い水準に上がり続けることが、特に大きな問題だと考えられています。

 こうした少子高齢化の状況は、日本の家計貯蓄率の低下に顕著に表れているようです。1970年代前半までは、貯蓄の中心である勤労世代が多くを占め、所得も伸びていたために、貯蓄率は非常に高い水準にありました。ただ1990年代以降は所得が伸び悩んだにもかかわらず消費は徐々にしか下げられなかったこと、貯蓄の取り崩しに頼らざるを得ないマイナス貯蓄の無職高齢者世帯比率が高まったことにより、貯蓄率が急激に下がってきました(蛇足ですが、今の米国もよく似た流れにあると思います)。今後も高齢化が進展する中で、無職高齢者世帯の比率がさらに高まる一方で、勤労世代の比率が下がっていくので、いよいよマイナスの貯蓄率が定着するという可能性も否めません。

 このように過去の成長経済期には、政府が赤字であっても、家計と企業がしっかりと稼いで貯めておいたから何とかなってきた日本ですが、今後は家計の所得が伸び悩みかつ高齢化すると同時に、政府の赤字を支えてきた家計の稼ぐ力が弱くなってくるわけですから、日本全体として今後どうバランスしていくのかという全体像を描く必要があります。私は個人的には、企業と家計の稼ぐ力を量と質(生産性)の面から構造を改革しつつ、稼ぐ力が上がってくるまでは、膨らみ過ぎた政府の赤字を削減して縮小均衡しなければ、バランスが取れなくなるだろうと考えています。

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