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「消費税10%」の脆弱な根拠

成長率マイナス1%なら、税率60%が必要になる

  • 市村 孝二巳

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2010年7月12日(月)

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 「自民党が提案している10%を1つの参考にさせていただく」

 7月11日投開票の参院選を前に、菅直人首相が「消費税率10%」に言及したことで、選挙の争点はほとんど消費税一色になったといっても過言ではない。自民党がマニフェスト(政権公約)に掲げたことを見ても、消費税率をまず5%から10%に引き上げるというのが現実的な選択肢の1つであることは間違いない。

トレンド名目成長率は「ゼロ%と仮定するのが妥当」

 問題は、政府債務残高が1000兆円の大台に近づく中で、消費税率をどこまで引き上げれば日本の財政を破綻させないですむのか、といった議論が欠落していることだ。

 菅直人首相が掲げた「強い財政」を実現するため、政府が6月22日に閣議決定した「財政運営戦略」は2015年度までに国と地方のプライマリーバランス(財政の基礎的収支)を2010年度に比べて半減させ、2020年度には黒字にするという目標を掲げた。金利変動による影響を除いて考えた場合、少なくともプライマリーバランスが黒字になれば、債務残高がそれ以上増えなくなるとは言える。

白川浩道(しらかわ・ひろみち)
クレディ・スイス証券チーフエコノミスト兼経済調査部長
1983年、慶応義塾大学経済学部卒、日本銀行入行。金融研究所、国際局、調査統計局エコノミストなどを歴任。米国ワシントン大学経営大学院(ファイナンス論博士課程)留学や経済協力開発機構(OECD)エコノミストも経験。国際局、金融市場局で為替市場介入や金融市場・金融機関モニタリング、金融調節を担当。1999年11月UBS証券チーフ・エコノミスト、2006年4月から現職。

 内閣府が名目経済成長率を1%台後半と仮定した「慎重シナリオ」では、2020年度にはなお21兆7000億円の赤字が残り、それを埋め合わせるには消費税率にして8~9%分の財源が必要になるとしている。消費税率を10%に引き上げたとしても、残りの3~4%分、約7.5兆~10兆円分は社会保障などの歳出カットで賄わざるを得ないという計算だ。

 新・成長戦略で掲げた3%の名目成長率を前提とした「成長戦略シナリオ」よりは控えめな数字だが、クレディ・スイス証券の白川浩道・経済調査部長は「評価のしようがない」と批判する。同氏は、政府債務残高の増加を止めるには「消費税率は30%程度という非現実的な水準まで引き上げる必要がある」という衝撃的な試算を明らかにしている。

 白川氏が指摘する財政運営戦略と内閣府試算の問題はその前提にある。日本の名目GDP(国内総生産)は過去15年ほど500兆円の前後を行ったり来たりしていた。そこから導き出されるトレンド名目成長率は内閣府が想定した1%台後半ではなく、「ゼロ%と仮定するのが妥当」という。

名目成長率はやはりゼロ%

 実質成長率を労働、資本、技術革新(全要素生産性)の寄与度で分解する「成長会計」の考え方に基づいても、人口減少を踏まえて労働はマイナス0.8%、資本は緩やかな増加を見込んでプラス0.3%、技術革新で0.5%押し上げと考えれば、実質成長率は差し引きゼロ%になる。物価上昇率がゼロ%ならば、名目成長率はやはりゼロ%、という見積もりだ。

 さらに政府の負債コスト(政府債務残高に対する利払い費)の理論値は1.9%。公的年金の積立金を100年で取り崩す前提で試算すると、財政を維持にするために必要な消費税率はぴたり30%という結果が導き出される。

 財務省の調べでは、世界で最も高い付加価値税率(日本の消費税率に相当)は、リーマンショック後に国家破綻寸前まで行ったアイスランドの25.5%。それにデンマークやスウェーデンの25%が続く。30%は未踏の領域だ。租税負担と社会保障負担が国民所得に占める割合を示した国民負担率が50%を超えることをタブー視してきた日本にとっては耐え難い水準だろう。

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