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「旬のお勧め」で投資信託を選んでは資産形成できない

販売会社のインセンティブは顧客か業績か

  • 立田 博司

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2010年7月15日(木)

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 前回は、少子高齢化・成熟経済化という大きな環境変化の中で、社会保障制度が大きな岐路に差しかかっていること、それに従って資産形成も自助努力・自己責任が重要になり、自分の価値観に基づいてライフサイクルを通した資産の全体最適化を図る必要がよりいっそう高まること、こうした資産形成の意味の変化は本来「貯蓄から投資(投資信託)へ」の流れを加速させるはずだがそうなってはいない、ということを述べました。そして「貯蓄から投資(投資信託)へ」の流れが加速しない背景には、投資信託に関わる様々な会社がその役割を十分に果たしてこなかったことがあるのではないかと問題提起をしました。これを受けて今回は、具体的にまず投資信託にかかわる様々な会社について考えてみたいと思います。

 まず投資信託という商品がどのようにして個人に届けられるのか、その流れを簡単に見ておきましょう。始めに資産運用会社が、販売会社の意向や市場動向を考えて、投資信託を企画し組成します。その投資信託を、証券会社や郵便局・銀行といった販売会社と契約をして、個人に販売(個人は投資信託を購入)します。そして、個人から集まったお金を資産運用会社がまとめて証券・金融市場で運用する(製造)ことになります(実際には、顧客のお金は資産運用会社ではなく信託銀行に分別して保管されます)。従って、証券・金融市場⇔資産運用会社(信託銀行)⇔販売会社⇔個人顧客という流れになります。

 また、さわかみ投信(東京都千代田区)をはじめとして、顧客に資産運用会社が直接販売する直販形式がここ数年広がってきました。この形式では資産運用会社が販売会社も兼ねるので、投資信託の流れは、証券・金融市場⇔資産運用・販売会社⇔個人顧客となり、より資産運用会社と個人顧客が近い関係になります。

投資信託の販売会社の実態を探る

 さて多くの方に聞いてみると、実はほとんどの方が投資信託を購入して損をしていることに驚きます。「あなたはなぜ投資信託で損しかしないのか?」。この疑問に答えるためには、上述の投資信託の流れの中で、誰がどんな責任をどのように分担するべきか、を考える必要があると思います。

 投資信託が元本保証をされない変動商品である以上、購入した結果に対する究極の責任は個人顧客の自己責任に帰結することは仕方がないことなのかもしれません。でもこの曖昧な自己責任に甘えて、販売会社やその営業、そして運用会社は、自分たちが本来分担しなければならない責任とそのための努力を放棄して、安易な方向にばかり流れていないだろうか。そしてそれを仕方がないと諦めている個人顧客が多いのではないか。そうだとしたら、なぜそんなことになってしまっているのか。それぞれがどのような責任を持てば、個人の自己責任がより意味のある明確なものになり、その結果もより良いものになるのだろうか。

 このような問題意識を持って、まずは投資信託の販売会社からその実態を見ていきましょう。それが郵便局であろうと、証券会社・銀行であろうと、投資信託の販売会社の現実的な目標は「より多く販売して、より多く手数料を稼ぐこと」のようです。金融に限らずあらゆる会社の販売活動は、基本的には商品・サービスをより多くの顧客に買ってもらうことをその使命としているのですから、「多く販売すること」を否定するつもりはありません。ただそれには条件があります。「顧客が満足し続けること」を条件に、より多く販売するべきなのです。会社の本来の目的は、顧客に販売することによって顧客のニーズが満たされ顧客が満足することにこそあるのですから、もし顧客が不満足であれば、多く販売すればするほど逆に多くの顧客に迷惑をかけてしまうからです。

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