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景気は本当に「持ち直して」いるのだろうか?

【第5回】コンポジットインデックス(C.I.)と「月例経済報告」の読み方

2010年7月16日(金)

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 今日は景気の問題についてお話をしたいと思います。

 景気には非常に多くの人が関心を持ちます。景気が良いか悪いかについて多くの人が関心を持つのは、このコラムの第3回でお話した家計と企業と政府と海外という4つの経済主体にかかわる問題だからです。

 景気がこれからどうなるのかを知りたくて経済を勉強をする人も多くいます。ただ、結論を最初に言ってしまうと、これから景気がどうなるかを正確に当てることは誰にもできません。私にもできません。しかし、日々の経済活動に従事して仕事をしているのであれば、日本の景気が今どのような状態で、今後はどうなるかという自分なりの考え方を持つことはとても大事なことです。ただ、その考えが当たるかどうかは別問題です。

景気はコンポジットインデックスという指標で見る

 まず、景気とは何かについてお話します。景気はコンポジットインデックス(C.I.)という指標(図表14をご覧ください)で見ます。景気にはいろいろな指標があり、1つだけを見ているとその指標だけが異常値を示す場合がありますから、多くの指標を平均して見ようという考え方で作られている指標です。コンポジットインデックスは、11個の代表的な指標を合成して1本にしています。

 この指標を見ると、波を描いているのが分かります。これが景気の波です。上がったり下がったりの波動を繰り返して経済が動いているのが分かります。縦の線は、景気の山と谷の日付を表しています。何年の何月が景気の山で、何年の何月が景気の谷かを決めて発表しているのです。

 6月7日に新しい景気の谷が決まって新聞にも出ましたが、2009年の3月です。これは政府が有識者による委員会(景気動向指数研究会)を作って、そこで有識者がこれでいいですと言って決めるものです。私もその有識者の1人ですが、私みたいな人が7人集まって、政府がこれでいいですかというものに、いいでしょうと言い、それが発表されます。

 図表を見ると最近は2007年10月が山ですが、この後サブプライム危機、リーマン・ショックがあって大きく落ち込みました。そしてまた元に戻って、2009年3月あたりから元に戻り始めたことが分かります。新聞にはほとんど出ませんが、この委員会で我々がどんなことを話し合っているのか、少しお話しましょう。

本当はもっと激しく落ち込み回復もまだ半ば?

 先ほどの図表には「公表値」という実線の下に「刈り込みなし」という点線があります。この刈り込みとは何でしょうか。これは、先ほどお話しした異常値が出たことを示しています。

 C.I.は11個の指標を合成して作っていますが、指標の中に突然、とんでもない動きをするものが出る場合があります。この時、ある範囲以上に変化したら、その変化を小さくしてしまうのです。例えば、突然、1カ月で10%ぐらい増えたら、それは異常値なので5%ぐらいに下げるという処理をする。これが刈り込みという作業です。

 2008年秋にリーマン・ショックがありました。リーマン・ショックでは、戦後の経済でもほとんど経験したことがないくらい、日本の経済が落ち込みました。するとこれは普通では考えられない下落であると、刈り込みの対象になってしまうのです。異常値と判断するのですね。一方、回復はゆっくりですから刈り込みません。

 下がる時は刈り込んで、上がる時は刈り込まないと、上がった後のレベルが高すぎるということが起きます。図表の刈り込まないで計算した点線を見ると、公表値よりももっと激しく落ち、ようやく半分ぐらい回復してきたことを示しています。ところが公表されている数字は、刈り込み処理をしていますから、いったん落ちてから、ほとんど元に戻ってきたというものになっています。

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「景気は本当に「持ち直して」いるのだろうか?」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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