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政府が介入すると労働環境は悪化する

川口大司・一橋大学大学院経済学研究科准教授に望ましい労働市場のあり方を聞く

2010年7月16日(金)

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 企業の業績が悪化すると、真っ先に整理の対象になるのは非正規社員。例え正社員であったとしても、給料は増えないのに残業などで仕事は増えるばかりだ。若者の就職は厳しく、もはや、終身雇用にすがって生きていくのも難しくなりつつあり、雇用の不安は深まる一方だ――。

 景気は持ち直していると言われているが、労働市場を取り巻く環境は依然として厳しいまま。どうすれば雇用をめぐる情勢は好転するのだろうか。

 川口大司・一橋大学大学院経済学研究科准教授に、日本の労働市場の現状とあるべき政府の役割について解説してもらった。

(聞き手は日経ビジネス記者、山根小雪)

―― 終身雇用が一般的である時代は終わったと言われていますが、実際のところ、日本の労働市場は今、どんな状況なのでしょうか。

川口 大司(かわぐち・だいじ)氏
ミシガン州立大学経済学部博士。筑波大学社会工学系講師などを務めた後、現職。専門は労働経済学。独立行政法人産業経済研究所のファティカルフェローとして日本の労働力の非正規化について研究している。(撮影:的野 弘路)

川口 新卒で特定の企業に入社して長期間働き、勤続年数に応じて賃金がぐんぐん伸びる。そういったいわゆる日本型の雇用体系で働いている人は、とりわけ若い人を中心に減っています。旧来の日本型の雇用が、1990年代、2000年代の長期の不況をきっかけに、変化しつつあるということは間違いないです。

 また、30代、40代の若い世代の方が平均勤続年数が短くなっている。内閣府経済社会総合研究所の濱秋純哉氏らによる最近の研究で、40代男性の中堅労働者の平均賃金が下がっていることがわかりました。年齢に応じた賃金の伸びの傾きは、かなり鈍くなってきている。つまり昔に比べて、40代になってからの賃金の伸びが鈍くなったということです。労働市場におけるこうした変化が、ここ20年ぐらいの間に起こりました。

―― それと同時に、日本では1998年以降、名目賃金は下がり続けているとも聞きました。

川口 全くその通りです。実は、この現象は半期ごとの賞与の減少による影響が大きいです。日本の賃金構造では、年収に占める賞与の割合が多いですよね。平均すると年収の4分の1が賞与です。一方で、米国などでは、経営者層以外の労働者については月収の12カ月分が年収であって、日本ほど賞与が一般的ではありません。

日本特有の「ボーナス」が名目賃金を押し下げている

 日本の場合、景気が悪くなって企業の業績が悪化すると、雇用は減らさず、ボーナスを減らして対処します。所定内の賃金を下げると労働者のやる気を大きく引き下げてしまいますが、賞与が引き下げられてもやる気への影響は限定的です。

 一方、賞与が日本ほど一般的ではない米国では、従業員の月収を下げることでコスト削減しても、従業員がやる気を失い生産性が下がってしまっては意味がないと考えます。そこで1割の賃下げをするくらいなら、1割のリストラを決断するという意思決定をします。

 賞与がない米国だから、こういった発想をするわけです。実際、そうした分析結果を示した研究もあります。1割の雇用は失われても、残り9割の労働者の賃金は据え置きですから、名目賃金は下がらないし、やる気も失われない。

 ですから日本では、解雇する代わりにボーナスを減らすことで不況に対応している、と言うことができそうですね。

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「政府が介入すると労働環境は悪化する」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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