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ギリシャ危機、対岸の火事ではない

日本の異常さは、国民よりも世界の方がよく知っている

2010年7月14日(水)

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 小康状態を保っていた世界経済に後退懸念が広がっている。ギリシャ危機を端に発した欧州の混乱の余波がどこまで広がるのか。財政に傷を抱える世界の国々が、固唾を呑んで見守っている。

 民主党惨敗に終わった参院選によって、国内では再び政治混迷の色が深まりつつある。盛り上がり始めた財政再建論議も、再び棚上げになる可能性が出てきた。だが、本来そんな余裕は、日本にはないはずだ。

 日経ビジネス7月12日号は、日本国債の行方をテーマにした特集を掲載した。本コラムでは、特集に連動した識者のインタビューを掲載する。第2回目は、元国際通貨基金(IMF)のエコノミストでもある、白井さゆり・慶応大学教授に、欧州経済の実情を聞いた。

※日経ビジネス7月12日号「日本倒産」の読みどころ解説はこちら

 ―― ギリシャ危機の行方をどう見ていますか。

白井 さゆり(しらい・さゆり)
本名・早由里。1963年生まれ。89年慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了、93年コロンビア大学大学院博士課程修了。国際通貨基金(IMF)エコノミストを経て、慶應義塾大学総合政策学部教授。コロンビア大学Ph.D.。近著に『欧州迷走』(日本経済新聞出版社、2009年)

 白井 まだ危機が収束したとは言い難い状況です。今年の1月と3月に、ギリシャ政府は財政立て直しのため再建策を相次いで表明してきました。しかし、市場での信頼を十分に取り戻せず、ギリシャ国債売りが続き、金利はどんどん上昇していきました。

 最終的には調達コストが高くなり過ぎて、新たに市場で国債を発行することが難しくなってしまいました。そこで、今年5月に国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)から3年間で合計1100億ユーロの支援を受けながら、より厳しい財政再建策を実行していくことになりました。財政赤字を2009年の国内総生産(GDP)比13.6%から、14年までに3%以内に抑えると公約しています。

 この目標を達成するために、すでに今年初めから実施している再建策に加えて、今後3年間で増税と歳出削減を含めてGDPで11%相当の追加策が必要となりました。このため、3月に2%も消費税を引き上げていますが、7月にはさらに2%の上げを余儀なくされ、現在は23%になっています。

 しかも、11%の対策の多くが今年と来年に集中しており、現在の経済成長率がマイナス4%、失業率が12%という大変厳しい経済情勢のなかで財政再建を断行していくのは至難の業です。果たして、IMFとEUと約束したように財政再建が進んでいくのかどうか。

ギリシャ、資金繰りに懸念

 ギリシャを巡る問題は2つあります。1つは、同国の資金繰りです。この点については、IMFとEUからの支援があるので市場での大量な資金調達に悩む必要は当面ありません。ただし1年以内の債券については市場での発行を今年も予定していますので、消化できるか見守っていく必要があります。

 もうひとつは、財政再建を続けてもギリシャの公的債務が増え続けてしまうことにあります。だからこそ、市場関係者は、現在もギリシャ国債のデフォルト懸念を払拭できないでいるのです。ギリシャの公的債務がGDPに占める割合は、2009年で115%になっています。財政赤字を減らすことができても、赤字である以上借金は増えていきます。2015年には150%前後になる見込みです。

 つまり、ギリシャは今後もずっと財政再建を続けていく覚悟が必要です。IMFとEUからの支援が終われば、ギリシャは再び市場で大量の国債発行が不可欠になる。それも、2013年頃に支援が終了します。ギリシャ政府と国民が財政再建を続けていく断固とした姿勢を示せなければ、国債の格付けはさらに下がっていくでしょう。

 そうなれば、国債の買い手がつかなくなり、長期金利は高騰しかねません。借り換え債が発行できなくなり、満期を迎えた国債はデフォルトする可能性があります。

 これは、新たな金融危機を招くことを意味します。金利が跳ね上がれば、企業の資金繰りを直撃することになり、倒産が相次げば、銀行の不良債権が増えるという悪循環が始まります。

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「ギリシャ危機、対岸の火事ではない」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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