• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

2080年の米国財政赤字

75年先を予測する「政策議論のインフラ」

  • 安井 明彦

バックナンバー

2010年7月22日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 債務残高が6割減、プライマリーバランス(国債費関連を除いた基礎的財政収支)の赤字も約15分の1に縮小──。

 6月30日、米国で夢のような試算が発表された。恒例となっている米議会予算局(CBO)の長期財政見通しである。これは、向こう75年間の米国財政の姿を一定の前提に基づいて示したもの。今回は2084年度までの予測が公表された。CBOは党派的な中立性を身上とする議会の付属機関であり、その予測には米国の政策決定過程で少なからぬ影響力がある。

医療制度改革が米財政を救う?

 冒頭で紹介したのはその一部で、2080年度に注目し、2009年発表(前回)と2010年発表(今回)の見通しを比較したものだ。

 特に国債残高の見通しは前回と今回で様変わりした。「2040年頃には国内総生産(GDP)比で100%を超える」という前回の見通しから、2070年頃までは100%以下の水準を維持できる見込みへと大幅な修正がかかった(図1)。2080年度のプライマリーバランスの赤字予測も、前回のGDP比5.9%から同0.4%にまで引き下げられた。

 米財政に関する「良いニュース」が流れることは稀である。6月21日には国際通貨基金(IMF)が2010年度の米財政赤字はGDP比11.0%とする予測を発表。今年2月にオバマ政権が公表した予測(同10.6%)よりもやや悲観的な見通しを示した。

 世論の関心も高まってきた。最近の世論調査では、政府が取り組むべき最優先事項に「財政赤字」を挙げる割合が、「雇用」「メキシコ湾原油流出事故」に次ぐ高さになっている。オバマ政権による財政予測は7月23日に改定される予定だが、ここで財政事情の悪化を再確認せざるを得ないようだと、政権にとっては秋の中間選挙に向けての凶兆になりかねない。

 こうした中でのCBOによる長期見通しの改定は、オバマ政権にとって「干天の慈雨」とでもいうべき吉報だった。

 しかも、CBOが大幅な見通し改定に踏み切った理由の大半は、医療改革の実現によるもの。難産の末に成し遂げた医療改革の功績であるだけに、オバマ政権の喜びは格別なはずだ。

 オバマ政権は医療改革を財政再建の第一歩として位置づけ、特に医療費の抑制に果たす役割を強調してきた。今回のCBOの長期見通しは、こうした政権の主張を補強するように見える。行政管理予算局(OMB)のオルザク局長は、発表当日のOMBのブログに「(CBOの見通しによって)財政再建における医療改革の重要性が再確認された」と書き込んでいる。

 7月末の退任が決まっているオルザク局長は、医療改革実現の立役者の1人。あたかもその花道を飾るかのようなCBOの「お墨付き」となった。

結局は税収増頼みの赤字削減

 もっとも、CBOの長期見通しを深く読み解くと、絵柄がそれほど単純ではないことがわかる。長期見通しには、医療改革の「成果」だけでなく「限界」もくっきりと示されているのだ。

コメント1

「Money Globe- from NY(安井 明彦)」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

全体の2~3割の人でも理解し、動き出してくれれば、会社は急速に変わります。

中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長