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経済はあるところで定常状態になる

【第7回】3つの経済成長モデルで人口減少、高齢化の影響を考える(1)

  • 桑原 進

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2010年7月30日(金)

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 今回は、経済成長を経済学的に考える場合のロジックである、経済成長モデルについてお話したいと思います。また、次回は、この経済成長モデルに基づいて考えた場合、人口減少、高齢化という課題を抱える日本の経済成長は今後、どんなものになるのかも考えてみます。結論から言いますと、人口減少・高齢化によって、日本の経済成長は2030年代には止まってしまう可能性があるのです。

 これはどのような理論に基づいているかをお話する前に、過去100年、世界の経済成長はどのような姿だったかについて振り返ってみます。

 今回の講義は、途中で疑問点があったらどんどん質問してください。

6倍に生活水準が向上した

 世界の総人口は20世紀初頭には16億人程度でした。2010年になると68億人と推定され、110年の間に4倍以上拡大しました。日本では少子高齢化が問題となっていますが、世界全体では依然として人口爆発の方が課題で、この問題を国際連合や世界銀行といった国際機関でも話し合っているという状態です。

 人口を上回る速度で拡大したのが、経済、豊かさの方です。20世紀の初頭の世界の総生産は、1990年の価格を用いて評価すると、約2兆ドル(1ドル100円で計算すると200兆円)でした。1990年の時点の値段のものを、100年前に買うといくらするかということから、その時点の所得を計算する考え方です。現在の日本のGDP(国内総生産)が約500兆円ですから、今の日本の経済規模は、は20世紀初頭の世界経済よりも2倍から3倍ぐらい大きいということになります。

 これが、2006年には約47兆ドルに拡大しました。約24倍になったということです。一人当たりの年間所得で見ると、1261ドルから7215ドルとなり、6倍に生活水準が向上したことになります。

 しかし、世界の経済は、必ずしも一直線に成長してきたわけではありません。短期的には高い成長を遂げた時期と経済が収縮する時期、すなわち景気循環を経験してきました。景気循環の中には、世界恐慌のような深くかつ長期にわたるものも含まれます。戦争による経済基盤の大規模な破壊も経験しました。さらに、国や地域により経済が成長を開始する時期には大きな違いがあります。

 図表1は米国と欧州、中国、インド、そして日本の20世紀における一人当たりGDPの推移です。1人当たりで考えて、どれぐらいの豊かさを享受してきたかを示すものです。

 全体的に経済全体が伸びて、豊かになっているのが分かりますが、途中を見るとジグザグがあります。一番上の線が米国ですが、1929年から第2次世界大戦が始まるころまで、非常に長い経済停滞が発生しました。

 中国の場合、経済の成長が始まったのは1980年以降で、それまで長期間にわたり経済が混乱し、生活水準で欧米諸国と大きな開きが拡大する状態が続きました。インドも歴史も文化もある大国ですが、成長が始まったのは1990年代です。

 1945年にかけて米国のグラフの線がぐっと伸びています。これは、経済が豊かになったのではなく、戦争に突入したことによってGDPが増えたことを表しています。戦争が終わると今度はがくっと落ちていますね。日本も1945年のところで、すとんと落ちているのが分かります。このとき日本の豊かさは3分の1になってしまいました。日本の生産能力が徹底的に破壊された結果です。1900年ぐらいから営々として積み上げてきた豊かさへの道のりが、一度に破壊されてしまったわけです。

江戸時代の年間所得は5~6万円だった

 では、日本の豊かさはこれまでどのような軌跡をたどってきたでしょうか。

 図表2は日本の一人当たりGDPの推移を示したものです。これは江戸時代から見たもので、OECDに長く勤めていたマディソンという人が調べた「マディソン推計」に基づいています。この推計は、世界中からデータを集め、西暦の初めから世界経済、将来経済について調べた統計です。これを見ると日本経済は江戸時代はかなり貧しい状態です。今の価額で計算すると年間所得が5~6万円です。

 貨幣価値が違うので簡単な比較ではありませんが、年間所得が5~6万円の生活を想像してみてください。

(注)図表1はマディソン推計を元に、1990年価格の実質GDPを用いて、筆者が円換算した一人当たりGDPを利用。

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