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ギリシャ破綻と日本をダブらせる愚

4種類ある「政府の負債」を混同するから本質を見誤る

  • 三橋 貴明

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2010年8月10日(火)

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 我が国は、自国の首相までもが「日本政府の負債」と「ギリシャ政府の負債」を混同し、懸命に破綻論を喧伝する摩訶不思議な国である。性質が全く異なる日本政府とギリシャ政府の負債を、「絶対額」のみで比較し、

「日本の借金の状況は、ギリシャよりも悪い。ギリシャは破綻した。よって日本も破綻する」

 などと、単純論を主張していれば、仕事をしたことになるわけであるから、この手の政治家やテレビのコメンテーターの皆さまが、時折、心底から羨ましくなる。この手の主張をする人々は、「政府の負債(財務省式に言うと『国の借金!』)」の「種別」について、考えたこともないのであろう。

買いオペで金利を抑制すれば済むだけの話

 ざっと分類するだけで、「政府の負債」は以下の4つに分けられる。

I. 政府が自国通貨建てで自国から借りた負債
II. 政府が自国通貨建てで他国から借りた負債
III. 政府が外貨建てで他国から借りた負債
IV. 政府が共通通貨建てで他国から借りた負債

 ギリシャ政府の負債の7割は IV に当たり、日本政府発行の国債の95%が I である。さらに日本政府の場合、外国人が保有する国債についても II に該当する。すなわち日本の場合、過去に発行した国債の、ほぼ100%が日本円建てなのである。

 ちなみに、アメリカ政府の負債はIとIIが半分ずつで、2001年に破綻したアルゼンチン政府の負債の多くは III であった。

 債権者が国内投資家だろうが、あるいは海外投資家だろうが、国債が自国通貨建てである限り、現在のギリシャが陥っているような「政府のデフォルト(債務不履行)」の危機は生じ得ない。政府の資金調達、すなわち国債発行時の金利水準が上がっていけば、中央政府が国債を買い取る(=買いオペレーション)ことで、金利を抑制すれば済むだけの話なのだ。

ギリシャ式財政破綻は「ユーロ加盟国」しかない

 ところが、ギリシャのように共通通貨建て(あるいはアルゼンチンのように外貨建て)で国債を発行してしまうと、話はまるで変わってくる。何しろ、ユーロ加盟国であるギリシャは、金利調整の機能をECB(欧州中央銀行)に委譲してしまっている。ギリシャ政府は、自国の長期金利を調整する権限を、全く持ち合わせていないのである。

 国債を増発し、長期金利が上昇していった場合に、ギリシャ政府には打つ手が全くない。普通の国が自国通貨建て国債を発行しているのであれば、中央銀行が国債を買い取れば金利は抑制できる。ところがギリシャの場合、自国で金利を調整することは全く不可能なのだ。それが可能なのは、ECBのみなのである。

 そして「ユーロ圏の中央銀行」であるECBが、ギリシャ一国のために金融政策を歪めることはできない。これこそが、現在のユーロ圏を揺るがす、複数の加盟国が抱える財政問題の本質なのだ。ギリシャ式の財政破綻は、「ユーロ加盟国」でなければ、決して発生し得ない性質のものなのである。

コメント230件コメント/レビュー

国の借金は、国民一人当たり6百万円以上。2%の金利であれば、12万円/年・人が借金の利子返済に税金を使用することになる。破綻するしないの問題でなく、国民から円建てで借りているからギリシャと違うという問題ではない。借金を増やさなくても維持できる体制にしていくことが必要。そのために国債増発が必要であると言いたいのだと思いますが、国債増発の必要論よりも何をすべきかが大事だと思います。(2010/10/26)

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国の借金は、国民一人当たり6百万円以上。2%の金利であれば、12万円/年・人が借金の利子返済に税金を使用することになる。破綻するしないの問題でなく、国民から円建てで借りているからギリシャと違うという問題ではない。借金を増やさなくても維持できる体制にしていくことが必要。そのために国債増発が必要であると言いたいのだと思いますが、国債増発の必要論よりも何をすべきかが大事だと思います。(2010/10/26)

子ども手当のような「所得移転系」ではなく、公共投資などの「日本国民の生活水準を維持する」「日本の産業力を強化する」ための支出にお金を振り向けるべき...公共投資も、産業力強化につながるか否かは、賭けなわけで、今までも利権優先でスカにしか賭けられない構造が出来上がっているのが問題。でも、”遷都”なんか分のいい賭けだよね。構造改革にもなるし。(2010/08/20)

ハローワークに行くと仕事はありますよ。ぜいたくを言わなければ時給800円、1日5時間で日給4千円、月20日働いて8万円です。もっと稼ぎたい人はいわゆる”3K”的な仕事になりますが時給千円、一日8時間で日給8千円、月25日働くと20万円になる仕事も探せばあります。でも公共工事などで月40万、50万稼げた古き良き時代が忘れられないでしょう。問題は社会保険などの給料以外の待遇です。時給でカウントされるこれらの仕事はほとんど何の手当てもないものが殆どです。そして給料も翌月後半に支払われます。正社員と非正社員との差別待遇は早急に是正されてしかるべきです。派遣そのものが「悪」ではなくパートや期間工などを含め同一職種・同一賃金(社会保険などを含めた)になっていないのが問題です。(2010/08/20)

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