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【最終回】資産運用の本来の姿を知っておこう

21世紀の資産形成市場は、顧客・販売会社・資産運用会社のみんなで創り上げる

  • 立田 博司

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2010年8月19日(木)

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 前回は、理想的な販売の姿を明らかにしたうえで、日本で現実的にどのように新しい販売チャネルが生まれてくるのかについて考えてきました。今回は、資産運用会社の責任と理想的な投資信託の姿について考えるとともに、個人顧客の自己責任も含めて、資産形成業界全体のあり方についてまとめることで最終回としたいと思います。

 そもそも顧客が投資信託を保有する目的は、何でしょうか? 顧客の大きな目標は、安心して投資信託を長期的に保有して、満足できる運用成果を享受することにより、人生の夢を実現するための一助にすることではないかと思います。ではこのような目標を達成するのに適した理想の投資信託とは、どのようなものでしょうか?

「理想の投資信託」。その答えはとてもシンプル

 私は以前ある会社で、投資信託や運用についてあまり詳しくない普通の社員たちと一緒に、全く白紙からこの問いについて考えてみたことがあります。その結果は、驚くほどシンプルでした。「下がらないけれども上がること」そして「安心してお任せできること」でした。

 ドキドキしないで長く持てて着実に増えていくような、そして金利よりもちょっとリスクが高いかもしれないけどあまり怖くない、そんな資産形成がしたい。

 「そんなことは当たり前じゃないか」と怒られそうですが、私はその当たり前のことが現実的に実現されていないからこそ、この当たり前に挑戦するべきだと考えたのです。顧客は自分でできないからこそ、自分に代わってプロにお願いして資産を増やしてほしい、そのためだったら手数料を払ってもいい、と考えているのではないでしょうか。

 それなのに現状では、顧客が通り一遍の商品説明を受けただけで、分からないながらも自分でリスクをとって、相対リターンしか目指していない投資信託を購入し、経験的には顧客の資産はほとんど増えていないのに手数料はしっかりと取られてきたのです。この現状は自己責任という名の下で、顧客の犠牲によって成り立っているだけで、持続可能な仕組みでも、社会全体を幸せにする仕組みでもありません。

 では払った手数料に見合うような、「下がらないけれども上がること」「安心してお任せできること」が実現される理想の投資信託について、もう少し掘り下げていきましょう。

 まずは、「下がらないけれども上がること」からです。運用者にとってはかなり難しい目標になりますが、これは以前述べた絶対リターンを目指すことにほかならないのです。顧客が長期で安心して投資できる投資信託であるためには、市場環境がどのような時であろうとも、下がる時にはできるだけ下がらず、上がる時には適度に上がるというのが理想ですよね。

 また顧客に長期投資を促すようなアドバイスをよく見受けますが、顧客にとって長期投資が本当に意味を成すのは、市場環境が長期の右上がりであるという幸運に恵まれるか、あるいは顧客が安心して長期に保有を続けることができるような「安心してお任せできる」投資信託であるか、のいずれかであることが条件だと思います。以前述べたように私は、長期右上がりの市場環境はしばらく期待できないのではないかと考えているので、顧客が長期的に資産形成をするには「安心してお任せできる」投資信託に預けるしかないと思っています。

何を「安心してお任せ」するのか?

 では何を「安心してお任せ」するのでしょうか? 個人の顧客が一番難しいと感じるのは、どんな資産をいつ売り買いしたらいいのかという、資産の選択(アロケーション)と売買のタイミングです。そうであるならば、その難しい判断をプロに任せて結果を出してもらえれば、手数料を払う意味があります。ある資産に特化してインデックスを上回る成績を上げるというような単純な運用をする投資信託を顧客が選択・判断して売買するのではなく、資産のアロケーションや売買のタイミングまでも「お任せ」できる投資信託が理想的です。

 同じ株式に投資する投資信託であっても、日本なのか海外なのか、海外でも先進国なのか新興国なのか、さらにはどの国のどの株式なのかという選択は、資産が増えるのか減るのかを決める重要な要素です。日本にも世界の株式に投資する国際株式型の投資信託はありますが、その資産配分は残念ながらインデックスに準じて相対リターンを目指すものが大半で、安心してお任せするにはかなり物足りません。

コメント5件コメント/レビュー

金融商品の販売体制に関する筆者のご指摘に共感いたします。以前金融機関で個人のお客様に運用商品の販売をしており、必ずしもお客様の利益になっていない販売側の体制に矛盾を感じておりました。本来の販売会社(FP)の仕事は、中立的な立場から家計のファイナンシャル・アドバイスをすることであると考えております。今回のコラムの連載は、非常に興味深く勉強になりました。自身もあるべき資産形成業界の誕生に貢献したいと思います。(2010/08/20)

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金融商品の販売体制に関する筆者のご指摘に共感いたします。以前金融機関で個人のお客様に運用商品の販売をしており、必ずしもお客様の利益になっていない販売側の体制に矛盾を感じておりました。本来の販売会社(FP)の仕事は、中立的な立場から家計のファイナンシャル・アドバイスをすることであると考えております。今回のコラムの連載は、非常に興味深く勉強になりました。自身もあるべき資産形成業界の誕生に貢献したいと思います。(2010/08/20)

著者が目指す真の資産運用会社は理想ですが、以下の点で実現に疑問があります。?下がらないけれども上がることを実現できるプロの投資家が本当に存在するのかどうか疑わしい?もし、そのような投資家がいるとして、その人が真の資産運用会社に継続して勤めるかどうか(他社に転職しないかどうか)疑わしい?顧客からみて、真の資産運用会社と、それらしく見える偽物の資産運用会社とを区別することが難しい。おそらく素人には区別できないだろう?顧客は移り気なので、真の資産運用会社が株価の上昇局面で、他の運用商品に負けたとき、資産が大きく流出する可能性がある。常に他の運用商品よりも良い利回りを実現できればいいが、そうでないと、継続して資産を確保できるかどうかわからない。つまり、真の資産運用会社を実現するためには、顧客のレベルも高くないといけないように思う。(2010/08/19)

 手前味噌になりますが、2007年秋に勤め先の年金の一部が定額拠出(いわゆる401k)運用となった際に、選択肢として提示された投資先のうち「向こう3年で絶対リターンを保証できるのは定期預金のみ」という結論に達して、全額定期預金に投入し、無事リーマン・ショックを乗り切りました。 当時の経済情勢で「円キャッシュ」は世界的に見ても「金」に次ぐ有望資産であり、運用先候補の選択肢の中に「金」が無かった事を今でも残念に思っています。(2010/08/19)

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