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デフレ下では見た目の財政赤字が隠される

【第9回】財政の仕組みと財政赤字の考え方の基本を学ぶ(1)

  • 桑原 進

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2010年8月20日(金)

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 今回のテーマは「財政の現状と課題」です。まず財政とはいったい何をやっているのかについてごく簡単にご紹介します。続いて、財政赤字の計算方法についてお話します。また、赤字が累積していくのが公債残高ですが、こればどんなものか、公債残高とインフレの関係、そして、難しい問題ですが、国の財政赤字は持続可能なのか、破綻した場合には何が起こるかについて解説したいと思います。

 まず、財政の基本的な機能です。

財政には経済の自動安定化装置の仕組みもある

 財政とは国や地方公共団体などの公的機関の活動をお金の面で捉える概念です。政府の経済活動ですね。

 政府部門は、国民経済の中で極めて大きなシェアを占めています。いろいろ捉え方があるのですが、国民経済計算における一般政府(中央政府と地方公共団体、社会保障基金を合わせた概念)でみると、2008年度の支出は、113兆円とGDPの約23%に及んでいます。何しろ規模が大きいので、政府の経済活動自体が、間違いなく経済全体に大きな影響を及ぼします。

 ちなみに、消費が占める割合は50~60%ぐらいしかありません。消費の半分に近いぐらい、もしくは3分の1から2分の1の間を国が使っていることになります。

 財政が担う役割は、主に3つに分類されます。一つが公共財の供給です。道路などの社会資本や公衆衛生など、私的な経済活動だけでは供給量が不十分となるものを、財政を通じて供給しています。公共財とすべきものがどこからどこまでかは、マクロ経済学というよりはミクロ経済学の分析対象となります。

 二つめが所得の再分配です。所得や資産の格差は価格メカニズムでは解決することは出来ません。財政は、所得移転や現物給付、累進課税などを活用して、著しい所得の不平等を改善することが出来ます。

 三つ目が、経済の安定化です。財政支出増や減税には、景気を回復させる力があります。

 リーマン・ショックといわれる米国発の金融危機が日本まで波及した時に、一気に自動車や家電の輸出量が落ちて、経済が非常に苦しい状態になりました。そのときにエコポイントや減税措置で日本国内でもモノが売れるようにする役割を財政が担いました。

 また、最近はありませんが、景気が過熱している場合には景気を冷ますことが出来ます。このように、景気の変化に応じて財政支出や税率を変更することなどを、自由裁量的安定政策と呼びます。

 財政の安定化機能はこれだけではありません。所得税などは、税率が累進構造になっており、所得が大きく上がると自動的に所得の増加以上に増加し、逆に大きく減少すると所得以上に減少し、個人の可処分所得を安定化させる効果を持ちます。

 景気の変動に応じて、追加的な政策を行うことなく、経済を安定化させるため、このような効果を持つ財政の仕組みを自動安定化装置(Built-in stabilizer)と呼びます。

 法案を通したり、政府で意思決定をしたりしなくても自動的に効くので、非常に効果があると考えられています。この自動安定化機能は2008年以降の不況局面でも大いに役割を果たしました。

 最近、GDP比で2%近く税収が落ちています。しかし、これは別の側面から考えると、ビルト・イン・スタビライザーが働いたと考えることもできます。結果的には、何の意思決定を行わずに財政出動したと考えてもいいのです。

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