(前回から読む)
前回は、財政の基本的な仕組みと、財政の持続可能性について債務動学の考え方を示してお話しました。
財政赤字について考える場合、国の場合は国がずっと続くという前提で財政が持続するかを判断します。借金を全部を支払い切れるかどうかではなく、所得に対して安定するかどうかで見ることになる。これが債務動学の考え方でした。
今回は、日本の公債残高がどれくらいかのデータを見るところから始めましょう。

日本の公債残高は、2011年の段階で名目GDP比で200%にいきそうです。今、政府は2014年で180%にしていきますと言っています。このグラフは少し古いデータです。また、対象とする財政赤字の範囲が微妙に違います。OECDが推計したもので日本は少し過剰推計になっている感じになります。ただ、それにしても諸外国と比べて圧倒的に高い水準にきてしまっています。
よく日本の政府には資産があるから大丈夫という意見が聞かれますので、ネットで見たのが図表4です。日本の資産を資産分キャンセルアウトしてみたものです。

それでもイタリアを抜いて、諸先進国の中では最悪の状態に陥っているのが分かります。もう財政再建は急務の状態になっているのです。
最悪、政府が貨幣を発行して支払ってしまえばいいが…
では、破綻すると何が起こるのでしょう。政府が債務の不履行を起こす。その後は政府がお金を貸してくださいといっても誰も貸してくれなくなります。当然ですね。すると、政府の経済活動が全面的にストップします。金利は払えません、それから地方交付税は当然払えません。教育の費用負担もできません、年金も払えません――。こういうことになります。
とはいえ、日本の累積債務の問題は、諸外国のケースや日本の過去のケースと比べると性質が異なっています。今のところ日本国債の保有者がほとんど日本人であり、政府に対外資産が相当存在するからです。従って、名目上、政府自身が債務不履行に陥るリスクは非常に小さいと考えられます。最悪の場合は、政府自身が貨幣を発行して支払ってしまえばいいのです。
では、日本の財政は破綻しないのでしょうか? 日本においても、名目的にはともかく、実質的な財政破綻は十分発生しえます。名目上政府はお金を返せますが(日銀券の増発もしくは政府貨幣の発行を通じて)、その場合、激しいインフレが発生してしまい、返したお金の価値は大きく減少することになるからです。従って、いずれにせよ人々は国債、もしくは日銀券、政府貨幣を保有しようとは思わなくなり、結局、市中から資金調達できなくなるという問題は十分発生し得るのです。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




