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迷走する「ブッシュ減税」延長論

10年前に仕掛けられた時限爆弾に右往左往

  • 安井 明彦

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2010年8月26日(木)

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 米国経済の回復ペースが落ちている。

 2009年第4四半期には5.0%増を記録した成長率も、今では減速傾向が鮮明。速報値で2.4%増とされた2010年第2四半期の実質GDP(国内経済総生産)成長率は、8月27日の改定で大幅な下方修正が予測されている。

 去る8月10日にはFRB(米連邦準備制度理事会)が金融危機への対応として購入してきたMBS(住宅ローン担保証券)の償還資金を米長期国債に再投資する方針を決定、事実上の追加緩和に踏み切った。

 一方、これまで景気を支えてきた財政政策には限界が見える。昨年から実施されている大型の景気対策は、今年7月末までに6割以上が実行済み。これからは次第に実施ペースが落ちてくる。米議会では追加対策が繰り返し議論されているが、折からの財政難に加えて世論の賛同も弱く、十分な規模の対策を実施するのは難しい状況だ。

「実質大増税」の足音が聞こえる

 それどころか米国の政策運営には、これからの景気回復を阻害しかねない問題が浮上している。今年末に期限切れとなる、いわゆる「ブッシュ減税」の延長がなかなか決まらないのだ。

 “予定通り”にブッシュ減税が失効した場合には、来年から税制は減税が実施される前の姿に戻る。金額にすれば1年間で約2000億ドル(約17兆円)、GDP比で1%強の実質大増税である。

 所得税率はすべての区分で上昇し、最高税率は現在の35%から39.6%に、最低税率も10%から15%に引き上げられる。現在15%のキャピタルゲインに対する最高税率は20%となり、配当所得に対する特別軽減税率(15%)は廃止される。

 景気回復の足取りが怪しい中で、本来ならばブッシュ減税の延長は問題なく認められるはずだった。ところが民主党と共和党の厳しい党派対立が、問題の決着をずるずると遅らせている。双方ともに減税の恒久化を主張してはいるものの、具体的な方法論では立場が違う。

 このまま両者に歩み寄りが見られなければ、審議は時間切れに追い込まれ、年末にはブッシュ減税はいったん失効してしまう。来年になってから遡及して減税を復活させるという選択肢もあるが、かつてはあり得ないと思われていた「大増税」が現実味を帯びて語られ始めていること自体が、米経済の不気味な重石になりつつある。

 ただでさえ米国民は経済の先行きに神経質になっている。これ以上の不透明感の高まりは、極めて望ましくない展開である。

300億ドルの違いが2000億ドルの増税を招く?

 ブッシュ減税の失効を巡る混乱は、米国政治の行き詰まりの結果である。全面失効による実質大増税の可能性と比較すれば、民主党と共和党の主張の違いは、2次的な問題に過ぎない。

 党派対立の焦点は、延長する減税の範囲にある。民主党は中低所得層に限って減税を恒久化し、富裕層には実質増税を求めるべきだと主張する。

 対する共和党は、全面的なブッシュ減税の恒久化を求めて譲らない。

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