「日本経済のゆくえ」

日本の財政赤字、私はこう考えます

【第11回】税金と歳出削減案について市民のみなさんに聞いてみました

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2010年9月3日(金)

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 前回前々回の2回にわたって、日本の財政赤字と財政の持続可能性についてお話しました。公債残高は、国民一人ひとりの課題であり、一人ひとり望ましい対応策のイメージがあると思われます。

 そこで、ぜひみなさんのご意見を伺いたく思い、この講義の受講生のみなさんにアンケート調査をしました。今回紹介するのは、そのアンケートの結果をまとめたものです。

 みなさんのご意見を見ると、財政は持続可能性に乏しいと考えている人が多いようです。歳出削減については、人件費の削減を中心にもっと可能であるという声が多く、歳入増加については消費税増税の声が多いようです。

 また、自分自身にかかってくる公的負担増への対策については、これ以上消費を削減することに困難を感じる方が多いようです。

 このコラムをお読みのみなさんも、財政や税金についてさまざまなお考えを持ったと思います。受講生の方々の声をもとに、日本の財政赤字と望ましい税金のあり方について大いに議論し、日本の将来を考えていただければと思います。

1. 我が国財政赤字の水準について伺います。現在の財政赤字、累積債務は、持続可能であるとお考えでしょうか、不可能であるとお考えでしょうか。

● 短期的(2〜3年)は可能。中期的(5年〜)は不明。長期的(〜10年)は不可能。

● 不可能と思います。ギリシャ以上に日本が危ないとされています。何とか黒字にもっていくよう政府は頑張って欲しいです。

● 現状程度にとどまり、潜在成長率の向上が実現できれば、持続可能と考えます。財政赤字の増大にもっとブレーキをかけるべきではないかと思います。

● 不可能。

● 持続可能とは考えられません。財政赤字解消のメドがなく赤字を続けることは、赤字を補っている国債の償還の可能性に疑いを生じさせ、誰も買わなくなる恐れがあると思います。

● 不可能。これ以上の増加は避けるべき。債務残高は維持し、利子の返済のみを行う。

● 持続可能。財政危機は財務省増税派のプロパガンダ。国の負債は978兆円ですが現預金、有価証券、貸付金、預託金、出資金等金融資産は500兆円、固定資産は180兆円でネット債務超過は282兆円(2007年度)で先進国並みの水準、ギリシャ財政とは異質。

 金融資産については証券化して民間に売却(国民の直接投資に切り替える)、固定資産については安全保障・治安維持・義務教育等政府の活動に必要な資産を除き民間に売却する。しかしレゾンデートルを失いかねない財務省のサボタージュにより売却は進展していない(国鉄・電電公社等3公社5現業は既に民営化完了しているが郵政は逆行)。

 資産売却により国の資産管理負担軽減(経費削減)、税増収(固定資産税、法人税等)、活力ある民間経済が実現する。売却困難なら公債費以上の資産運用利回りを図るべく構造改革を進め、生産性・収益性のない事業は廃止する。

 国の債務は国民の富(金融資産に等価)であり財政赤字が国債下落とはならない。長期金利下落傾向で円は世界で最も強い通貨である。

 名目成長率3%、インフレターゲット2%、長期金利1.5%、プライマリーバランス均衡すれば、将来、債務比率は下落し財政に問題はない。

● 少しでも減らしていく努力が必要。

● 持続不可能であると考えています。収入と新規借入、支出と借金返済のバランスが尋常ではなく、ひどい自転車操業です。

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著者プロフィール

桑原 進(くわはら・すすむ)

元政策研究大学院大学准教授(現内閣府経済社会総合研究所主任研究官)。産業カウンセラー。1989年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。99年在チェコ日本国大使館一等書記官。内閣府、連合総合生活開発研究所などを経て2007年に政策研究大学院大学。2010年8月より現職。著書に『経済指標を読む技術―統計データから日本経済の実態がわかる』(共著)、『データで斬る世界不況 エコノミストが挑む30問』(共著)、『政権交代の経済学』(共著)。



このコラムについて

日本経済のゆくえ

経済学という“道具”で世の中を見ると、それまでとは違った視点で物事を考えられるようになるといいます。どうやら、経済学は役に立つ学問のようですが、これまで敬遠していた人、あるいは、ゼニカネのことばかりで物事を考えるのはいかがなものか、とお考えの方も多いのではないでしょうか。このコラムは、これまで経済を本格的に勉強したことのない人に向けて、難しい数式は抜きに、経済学のイロハから、現実の経済政策や日本経済の諸問題について教えていただくオンライン版の“市民大学”です。三鷹市が開催する市民大学総合コースで2010年5月から始まった講義をベースに構成しました。

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