• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ストレステストでは終わらない欧州の苦境

外需に依存する“フォロワー”の限界

2010年8月20日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 欧州がまた1つ難所を切り抜けた。昨秋からの「ギリシャの財政危機」以来、ユーロは下落基調が続き、一時はピーク比で2割も下落したこともあったが、7月のストレステスト後は対ドルで約1割の上昇に転じた。

 筆者は、ストレステストの結果そのものは評価するし、「財政危機」と「信用不安」から生じる景気下ぶれリスクも当面は後退したと判断している。しかし、ここで得たものはいわば小康状態に過ぎず、欧州経済の先行きは依然として不透明と言わざるを得ない。

「甘すぎる」との批判はあるが大きな前進

 既に報じられているように、7月23日に公表されたストレステストの結果は、ソブリンリスクを含めたストレスシナリオのもとで、6%のティア1基準(所用最低資本比率は4%)を満たすために必要な資本は、総額で35億ユーロ不足しているとされた。その数字は、コンセンサス予想の400億~500億ユーロを大幅に下回った。また、資本不足の銀行数が10~20行出るという事前予想と比較して7行にとどまるなど、全体的に事前予想よりも良好な結果となった。

 今回のテストの想定条件については批判もある。保有国債のヘアカットの対象がトレーディング勘定にとどまり、満期保有目的のバンキング勘定が対象から外されたことで、事実上、ソブリンのデフォルトはありえないという想定になっているのも、「甘すぎる」と言われる理由の1つだ。しかし、例えばスペインで注目されていた貯蓄銀行のすべてがテストの対象に含められた上に、住宅用と商業用の不動産価格の大幅下落を想定するなど、評価できる面もある。

ストレステストの条件も妥当

 欧州では、昨秋にも欧州銀行監督委員会(CEBS)のもとでストレステストが実施された。しかし、その時は全体として健全な状況が保たれていると発表されただけで、個別金融機関の結果については公表が見送られた。欧州では未上場の有力金融機関なども多く、実態がよく分からない状態が続き、市場の不安感をいたずらに増幅させてきた面があった。今回の個別金融機関のテスト結果公表は、大きな前進と評価できる。

 また、4月に発表されたIMFの金融安定性レポートでおよそ5123億ユーロに及ぶ償却不足と指摘されていたが、今回のストレステストの想定されている推定損失額が5659億ユーロであることと比較すれば、おおむね妥当な条件でテストが行われたと判断できよう。

ストレステストでTier1自己資本比率が6%を下回った銀行

国名 銀行名 Tier1自己資本比率 Tier1自己資本比率を6%にするための不足額(100万ユーロ) 備考
ドイツ Hypo Realestate Holding 4.70% 1245 すでに完全国有化
ギリシャ ATEbank 4.36% 242.6 貯蓄銀行3行を統合
スペイン DIADA 3.90% 1032 貯蓄銀行3行を統合
  ESPIGA 5.60% 127 貯蓄銀行3行を統合
  Banca CIVICA 4.70% 406 貯蓄銀行3行を統合
  UNNIM 4.50% 270 貯蓄銀行3行を統合
  Caja Sur 4.90% 208  
スペイン小計     2043  
合計     3530.6  

(出所)欧州銀行監督委員会

欧州金融安定メカニズムの出動も懸念されたが…

 また、注目されていた財政の維持可能性が懸念されていた周辺国の銀行の資本不足についても、十分に各国の資本注入プログラムで対処することが可能とみられ、欧州金融安定機構(EFSF)の発動を求める必要性は小さいと考えられる。

 ストレステストは、金融機関の資本が十分であるか否か不透明感を払拭するととともに、必要な場合には資本注入を通じて資本不足の状態を解消しなければならない。しかし、今回の欧州のケースでは公的資本注入の主体である政府に対して、一部周辺国については信用懸念が持たれている。したがって、国ごとに金融機関の資本不足を補えない場合には、欧州金融安定メカニズム(EFSM)など欧州内の国際協力、結局はドイツの信用力を借りる形で、対処せざるを得ない。

コメント0

「Money Globe ― from London」のバックナンバー

一覧

「ストレステストでは終わらない欧州の苦境」の著者

池田 琢磨

池田 琢磨(いけだ・たくま)

ノムラ・インターナショナル

野村総合研究所、郵政研究所、野村総合研究所アメリカ、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルを経て、2007年より現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授