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中国と日本が抱える悩みは同じ?

「非正規」と「農民工」、大卒者の就職難…日中労働問題レポート

  • 澤井 景子

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2010年8月23日(月)

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 ストライキの勃発始め、中国では労働問題が様々な形で表面化しています。中国が抱える問題は、日本の高度成長期に見られたものと重なる面がありますが、実は、現在の日本が抱える問題と共通する点が多いのも確かなようです。

 今回のコラムの筆者である連合総研の澤井景子主任研究員は、中国に足を運んで現地の労働問題の関係者と意見交換をする中で、日中の違いよりも、共通する問題点が多かったことに驚きを感じたと言います。
 一見、まったく違う経済情勢にある日本と中国が抱える共通の課題とは何か。日本が現在直面している労働問題と比較しながら、中国が抱える労働問題の現状をレポートしていただきました。

 日本と中国では、経済情勢は大きく異なる。中国は、現在、高度成長期にあり、10%前後の経済成長が続き、景気過熱が懸念される状況である。一方で、日本は、既に成熟経済であり、現在の景気は中国経済の牽引もあって回復しているものの、その勢いは緩やかだ。

 しかし、日中両国が抱える課題には、実は共通する面も少なくない。筆者は、2010年7月に「日中労働組合生産性向上セミナー」(7月5、6日、北京開催)に参加し、「世界金融危機への日本の対応」というテーマで報告を行った。2008年秋の世界金融危機後に、「派遣切り」等の非正規労働者の雇用調整、および彼らに対するセーフティネットの不備という問題に直面したこと、また、新卒者の採用や賃金上昇による内需拡大等が現在の課題であることなどを説明した。

 すると、中国側からは、「日本が我々と同じ課題を抱えていることが分かり、興味深かった」という反応があったのだ。力強い経済成長が進行中の中国が同じ課題を抱えていると言われて、筆者は戸惑った。しかし、その後、セミナーで中国側の報告を聴くと、確かに日本と同じような話が出てくる。もっとも表面的には似たような課題であっても、中身は相当に異なる場合もあるが、日中共通の課題だと感じる点が、思っていた以上にあった。

 ここでは、日中両国が直面する共通の課題について、その相違点にも留意しながら取り上げたい。

日本の非正規雇用、中国の農民工

 世界金融危機後、その悪影響として日本で最も深刻に受け止められた問題は、「派遣切り」、「派遣村の創設」に象徴される非正規雇用者問題だろう。世界的な需要縮減を受けて、輸出企業を中心に企業は大幅な生産調整を行った。そしてこれに伴う人員削減によって、製造業派遣労働者を始めとする非正規雇用者が失業することとなった。

 しかも、日本のセーフティネット制度は、例えば、2008年当時は失業手当の受給要件が勤続1年以上であったなど、主に正社員を前提としたものであったため、非正規労働者の中には、失業後、直ちに生活が困窮する者が続出した。

 中国の場合、これと似たような状況に置かれたのが、都市部にいる農村からの出稼ぎ労働者である「農民工」だ。中国が「世界の工場」と呼ばれるまでになったのは、農村の余剰労働力が沿岸都市部に大量に流入し、急拡大する労働需要を満たしたからである。

 出稼ぎといっても、農民工は季節労働者ではなく、長い場合は10数年間都市で働く。特に、新世代農民工と呼ばれる若い人たちは、農業経験もなく、都市で働き続けようとしている。農民工は、職場を頻繁に移るために労働契約を締結していないことも多い。労働条件は悪く、賃金水準は概ね同じ都市部の平均を大幅に下回っており、賃金不払い問題、労働災害問題なども生じている。

 世界金融危機後に、中国でも、沿岸部などの企業が大幅に生産を縮小したため、結果として大量の農民工が失業に追い込まれた。中国政府の発表では、農民工1.4億人のうち、2008年末までに約2000万人が失業した。労働条件の低い勤労者が集中的に失業したという点では、日本の非正規雇用問題に通じるところがあろう。

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