「三橋貴明 暴論?あえて問う! 国債増発こそ日本を救う」

30年前より少ない日本の公共投資

「荒廃する日本」にしていいのか。未来への投資、始めるのは今

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2010年8月31日(火)

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 まず、第1回から第4回までの筆者の主張を簡単にまとめておこう。

・第1回 「財政再建」なんて自殺行為だ

・第2回 ギリシャ破綻と日本をダブらせる愚

・第3回 「国の借金」意味分かって使ってる?

・第4回 デフレ環境下でインフレ対策を叫ぶ

 日本は現在、需要不足(デフレ)の上に過剰貯蓄状態で、銀行などの預金超過額が増大し続けている。

 デフレにより民間の資金需要が高まらず、銀行などの国内金融機関は「国債を買うしかない」有り様で、日本政府が発行する国債の金利は世界最低水準で推移している。結果、日本国債は95%が国内投資家に購入されており、かつ通貨は100パーセント日本円建てで、自国で金利調整が可能である。

 それを、経常収支赤字国ゆえに国内の貯蓄不足に悩み、国債消化の7割を海外投資家に依存し、しかも自国で金利調整が不可能なユーロ建てで販売しているギリシャと「負債残高」のみで比較し、「破綻だ」などと騒ぎ立てることはナンセンス。

 日本の長期金利低迷は、市場が「もっと国債を発行して欲しい」とサインを送っているに等しく、日本政府は国債発行、財政出動によりデフレギャップを埋め、民間の資金需要が高まり、名目GDPの成長や健全なインフレをもたらすように支出を拡大するべき。

「ある官庁」が格付け機関に送りつけた意見書

 実は、2002年に「ある官庁」が、外国の格付け機関に意見書を送りつけている。その意見書上では、筆者と全く同じコンセプトに基づく「日本国債」に関する解説が展開されていた。その一部を引用してみよう。

「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか」
「マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国。その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている」
「日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高」(注:2002年当時)

 上記は、別に筆者が加筆修正したわけでも何でもなく、この文章のまま意見書要旨として掲載されている。

 ちなみに、想像はついたかも知れないが、上記の「意見」を欧米格付け機関にぶつけ、日本国債に関する格付けの異常性に対し、堂々と苦情を申し立てた素晴らしき(注:皮肉ではない)官庁は、何を隠そう財務省である。

【外国格付け会社宛意見書要旨】

英文【Summary of letter to the rating agencies】

公共投資はピークの半分にも満たない水準

 さて、政府が「財政出動」するとして、何に使うべきなのか。

 誤解している人が多いので、まずはその点から改めておきたい。現在の日本国内における公共投資の額は、決して多くない。というよりも、少なすぎる。

 いまだに、

「日本は公共投資が多すぎる! 減らすべきだ!」

 などと叫んでいる人を、時折テレビなどで見かける。あの方々は、果たして何を根拠にあのような「嘘」を叫んでいるのだろうか。そもそも、日本の公共投資の額について、1度でも数値データを見たことがあるのだろうか。甚だしく疑問である。

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著者プロフィール

三橋 貴明(みつはし・たかあき)

三橋 貴明作家、経済評論家、中小企業診断士
1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業ノーテル、NEC、日本IBMなどでの勤務を経て2008年に中小企業診断士として独立、三橋貴明診断士事務所を設立した。現在は、経済評論家、作家としても活躍中。2007年、インターネットの公開データを詳細に分析し、韓国経済の脆弱な実態を暴く。これが反響を呼んで『本当はヤバい!韓国経済』(彩図社)として書籍化され、ベストセラーとなった。既存の言論人とは一線を画する形で論壇デビューを果たした異色の経済評論家。ブログ「新世紀のビッグブラザーへ」の1日のアクセスユーザー数は4万人を超え、推定ユーザ数は12万人に達している。2010年参議院選挙の全国比例区に自由民主党公認で立候補したが落選した。『日本の未来、ほんとは明るい!』(ワック)、『いつまでも経済がわからない日本人−「借金大国」というウソに騙されるな−』(徳間書店)など著書多数。



このコラムについて

三橋貴明 暴論?あえて問う! 国債増発こそ日本を救う

 日本がギリシャの二の舞になる? 冗談じゃない。そんなのは日本経済の構造を正確に把握していない人たちが言っていることだ。日本の真の問題とは財政赤字なんかではなく、将来への成長の道筋が見えないことである。そして、日本経済を再浮上させるのはこれまでの“常識”をうち破る成長戦略しかない。そのための国債ならばどんどん増発すればいい。そのプレッシャーを補って余りある底力が日本経済にはある。最も恐れるべきは、見かけの財政赤字に惑わされてダイナミックな政策を打ち出せなくなることだ。

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