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30年前より少ない日本の公共投資

「荒廃する日本」にしていいのか。未来への投資、始めるのは今

  • 三橋 貴明

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2010年8月31日(火)

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 まずは1980年以降の、日本の公共投資(GDP上の公的固定資本形成)及び公共投資対GDP比率の推移をご紹介しよう。

 図5-1の通り、日本の公共投資の総額は、1996年をピークに減らされていった。今やピーク時の半分に満たない水準なのである。96年と比較し、2009年は22兆円も少なくなっている。すなわち、この期間に、日本国内から22兆円分の「需要」が失われた計算になる。

日本は「成長する気をなくした」と思われても仕方がない

 前回(第4回)解説したが、公共投資はれっきとしたGDPの支出項目の1つである。需要不足でデフレギャップが拡大している状況で、需要の一部たる公共投資を22兆円も削減したわけだ。国内のデフレギャップが拡大し、日本経済がデフレから脱却できなくても、むしろ当然に思える。

 ちなみに1997年以降、99年及び2009年の2年のみが、公共投資の額が前年を上回っている。これは、当時の小渕政権及び麻生政権が、デフレギャップを埋めるべく、財政出動を拡大したためだ。残念なことに、小渕元首相は病に倒れ、麻生政権は総選挙に敗北し、両政権共に短命に終わり、日本のデフレ脱出は果たせなかった。

 極めて恐ろしいことに、ここ数年の公共投資の額は、何と1980年の規模を下回っているのである。1980年……。30年前である。公共投資の額が30年前を下回っているなど、諸外国から、日本が「成長する気をなくした」と思われても仕方がないレベルである。

 公共投資対GDP比率も、1980年に10%弱だったのが、今や4%にまで落ちてしまった。実は、この「公共投資対GDP比率が4%」というのは、ほぼ欧州と同じ水準である。

 この事実を受け、

「日本の公共投資総額は、ようやく欧州と同じ水準にまで下がった」

 などと喜んでいる人がいるわけであるから、唖然としてしまう。公共投資の適正水準が、どの程度であるべきか。それは各国の事情によって決められるべきだ。別に、

「公共投資対GDP比率は、○%程度にすべきだ」

 などという、国際的な決まりがあるわけでもない。

欧州諸国とは自然災害の頻度や地形がまるで異なる

 ちなみに、欧州諸国の多くには地震がない。何しろ、欧州の建築審査項目には「耐震」という項目が存在しないのである(日本にはもちろん、ある)。さらに、欧州には台風が来ない。それに対し、日本は世界屈指の地震国で、台風も到来する。自然災害という面で、日本と欧州では比較するのもバカバカしいほどの差異があるのである。

 筆者がフランスに赴いたとき、高速道路の高架脚があまりにも細く、驚いたことがある。印象的に、日本の高架脚の3分の1程度の厚みしかない。別に、地震が来るわけではないため、あれで十分なのだろう。

 また、欧州は基本的には平原が続き、橋梁はかけやすく、トンネルも少ない。それに対し、日本は峻険な地形が続き、橋梁をかけるコストが高くなってしまう。場所によっては、トンネルも必要だ。

 すなわち、自然災害の頻度や地形がまるで異なる欧州諸国の水準にまで、日本の公共投資は縮小されてしまったのだ。こんな有り様で、何の弊害もないと考える方が、おかしいのである。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官