今回は三菱地所の木村惠司社長(63)です。

不動産総合デベロッパーの三菱地所が進める丸の内の再開発。1998年から2018年の20年にわたるビッグプロジェクトには総額9500億円をかけ、一帯で所有する13〜14棟のビルを建て替えることを計画しています。
三菱地所の木村社長はこの再開発構想について語る時、「経済・環境・文化」「助け合い」「生物多様性」など、日本の景気回復へのキーワードと重なる言葉が次から次へと出てきます。
「街が変わります」というメッセージを発信してから12年の月日が流れました。「街が変わってきました」と成果を語る社長の口調からは、これからの8年も含めた成功への手ごたえが感じられました。
黄昏れていた丸の内
「社長の魅力はオープンマインド」。取材の過程でこうした社内評を耳にしましたが、まさにその通り。成功体験を語る時は誰しも晴れやかになりますが、木村社長は厳しい国際競争について説明する時も、成功への道のりを明確にイメージして、とても気持ちよく語ってくださいます。
98年から2008年の「第1ステージ」では丸ビルや新丸ビル、東京駅前のビルを建て替えて商業機能を強化し、街に賑わいを取り戻しました。1997年当時「丸の内がたそがれている」と表現されていたそうですが、今ではお昼時に並ばずに入れるレストランを探すのに一苦労。まさに激変ですね。
2008年から2018年までの「第2ステージ」では街の活気を大手町・有楽町にまで広げ、街に深みを持たせて経済・環境・文化を強化し国際競争力を高めます。
じっくり、長くつき合える関係作り
国際競争力を高めるための再開発。新しいものを積極的に取り入れ、古き良きものを復元する。そのカギになるのが、「人情」です。
苦しい時にお互いに支え合える関係をつくる――。そんな助け合いの精神が、街の発展には欠かせないのではないかと見ています。
例えば、賃料。不景気になると企業が最初に見直しを行う1つが、固定費である賃料です。顧客から「今のご時世、この金額では払えない」と言われた時に、「それなら別な場所ににお移りください」といった対応だけでは、ドライすぎる。
街の発展には、そこに住む住人の存在が不可欠。長い年月をかけて発展していくには、その街を長く愛し続けてくれる顧客が欠かせない。短期的な利益ばかりに目を奪われていると、優良な顧客を取り逃してしまい、長期的には街の発展にマイナスになる。
木村社長はそれを強く意識しているだけに、「じっくりと、長い付き合いをしたい」と強調します。再開発は20年で区切りとなりますが、“人の絆”や“時代に合わせた街づくり”のキーワードは「継続」。社長は「エンドレスの努力をしないといけない」「終わりなき開発」と話します。
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