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「人口オーナス」から導かれる新常識

求められる「正統的な経済政策」への真剣な取り組み

2010年9月10日(金)

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 日本の経済社会のこれからの長い将来を展望した時、もっとも大きな問題が人口問題だということについては多くの人が同意するでしょう。

 では、人口変化はなぜ問題となるのでしょうか。そしてそれにどう対応すべきなのでしょうか。ここではこうした問題を「人口オーナス」という概念を使って考えてみることにします。この概念を使うと、人口問題についていくつかの新しい常識が浮かび上がるとともに、この人口オーナスこそが日本経済の長期的課題の原因だということが分かってくると思います。

人口オーナスとは何か?

 読者の皆さんは「人口オーナス」とは聞き慣れない言葉だと思うでしょう。これは「人口ボーナス」という概念の逆の概念として出てきたものです。

 人口ボーナス・オーナスという考え方は、従属人口指数という概念を使って説明するのが便利です。人口は「生産年齢人口」と「従属人口」に分かれます。生産年齢人口は、15歳から64歳であり、この年齢層の人々が働いて経済社会を支えると考えます。「従属人口」は、15歳以下の「年少人口」と65歳以上の「老年人口」の合計です。いわば生産年齢人口の人々に「支えられている」人口に当たります。この従属人口を生産年齢人口で割ったものが「従属人口指数」です。

 さて、「人口ボーナス」というのは、人口の動きが経済にプラスに作用する状態を示す言葉であり、従属人口指数が低下している局面がこれに当たります。従属人口指数が低下すると、人口全体の中で働く人の割合が高くなり、経済には追い風の状態になります。例えば、4人家族で夫婦2人が働いて家計を支えていたのが、子供が働き始めて、働き手が3人、4人と増えていけば家計は楽になる(一人当たり所得が増える)のと同じことです。

 逆に、従属人口指数が上昇するのが「人口オーナス」です。オーナス(onus)というのは「重荷」という意味です。従属人口指数が上昇すると、人口の中で働く人の割合が小さくなり、経済には逆風になります。4人家族で4人働いていたのが、親世代が引退して、働き手が、3人、2人と減っていくと、家計が苦しくなる(一人当たり所得が減る)のと同じです。

 この人口ボーナスと人口オーナスは「人口ボーナス状態がやがて人口オーナス状態になる」という具合に連続して現れることになります。戦後の日本がまさにそうでした。図1は日本の従属人口指数を示したものです。これに基づいて実際の動きをたどってみましょう。

 まず、何らかの理由で出生率が上昇します。戦後では団塊の世代の誕生(私自身もその一人です)が出生率の大幅上昇をもたらしました。

 次に、その上昇した出生率が低下する局面が来ます。すると、高い出生率の時代に生まれた人々が生産年齢人口になっていくため、従属人口指数は大きく低下します。この時が人口ボーナスの時代です。経済の中で働き手はどんどん増える一方で、老後の面倒を見るべき高齢世代の数はまだ少ない。1950年から70年にかけての時期がこの時代であり、ちょうど高度成長期に当たります。日本の高度成長は人口構造の変化に後押しされたものだったわけです。

 しかしこの人口ボーナス状態は長続きしません。新たに生産年齢人口に加わってくる人の数は減っていく一方で、かつて出生率が高まった時代に生まれた人々が次々に高齢者になっていくため、従属人口指数は上昇して行きます。これが人口オーナスの時代であり、日本は1990年頃からこの段階に入っています。

画像のクリックで拡大表示

 さて、この「人口オーナス」という概念で考えてみると、人口問題についていくつかの新常識が現れてくるのです。

新常識その1
人口問題の本質は「人口減少」ではなく「人口構成」

 まず、人口変化はどうして問題なのかを考えてみましょう。

 多くの人は「人口が減ること」が問題だと言います。ではなぜ人口が減ると問題が起きるのでしょうか。人口が減れば当然経済規模が縮小してしまうではないか。経済規模が縮小するということは、所得が減り、雇用機会が減り、企業の売り上げが減るということではないか。これを防ぐには、人口一人当たりの生産額(一人当たりGDP、つまり生産性)を上げるしかない。多くの人はこのように考えるのではないでしょうか。

 本当にそうでしょうか。

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「「人口オーナス」から導かれる新常識」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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