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「輸出頼みニッポン」という大誤解、そして真の弱点とは

日本国家のグランドデザイン(前編)“世界6位”の面積を生かして

  • 三橋 貴明

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2010年9月7日(火)

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 唐突であるが、「国家経済」の究極的な役割とは何だろうか?

 それは、国民に製品やサービスを滞りなく行き渡らせるための生産能力や供給能力を、未来永劫、維持することである。――などと書くと大仰に聞こえるかも知れないが、「役割を果たせなくなった国家経済」について考えてみると、意外に簡単に理解できる。

ソ連は極度のモノ不足でどん底まで落ちた

 1991年にソビエト連邦が崩壊したが、その前後に、ロシアなどの経済がどん底にまで落ち込んだことがある。どん底にまで落ち込むとは、まさしく国家経済が果たすべき役割を果たせなくなった状況である。すなわち、極度のモノ不足だ。

 筆者くらいの年代から上の方々であれば、強烈に記憶しているのではないかと思う。当時、ロシアではモノ不足が日本人には想像もつかない水準にまで達し、人々は「肉を買うため」「パンを買うため」に、商店の前に長い行列を作る有り様だった。すなわち、国民に製品やサービスを滞りなく行き渡らせるという、国家経済の究極的な役割を、政府が果たせなくなってしまったわけである。

 肉一切れ買うために、人々が店の前に長蛇の列を作る。終戦直後の日本も全く同じ状態に陥ったわけであるが、当時の日本や90年代前半のロシアの状況は「需要>供給」、すなわちインフレーションが悪化していたわけだ。インフレが進行し過ぎ、人々がモノやサービスの不足に苦しむ状況。これこそが、国家経済が最も避けなければならない環境なのである。

 本連載において、筆者は「デフレの問題点」ばかり書き連ねてきた。だが、国家経済という観点から見れば、インフレの加速(というよりも、極端な供給不足)こそを、最も恐れなければならないのである。何しろ、モノ不足(供給不足)が極限まで進むと、国民が飢え死にしてしまう。

 とはいえ、デフレで人が死なないかと言えば、実はそうでもない。

橋本政権の緊縮財政開始が「日本の分岐点」になった

 図6-1は、日本の自殺者数、失業率、そして平均給与について、1980年の値を1として、推移をグラフ化したものだ。ご覧いただければ一目瞭然だと思うが、97年を境に自殺者数が1.5倍になり、失業率が跳ね上がり、平均給与が「下がり」始めている。

 97年と言えば、橋本政権の緊縮財政(消費税アップ、新規国債発行停止、公共投資の削減開始)により、日本のデフレが一気に深刻化した時期に当たる。(厳密には翌年の98年からデフレが悪化した。)

 普通に考えて、「良い国」というのは「自殺者が減り、失業率が下がり、平均給与が上がっていく国」という定義になるのではないだろうか。少なくとも「自殺者が増え、失業率が上昇し、平均給与が下がっていく国」を「良い国」とは言わないと思う。

 97年の橋本政権による緊縮財政開始は、まさしく「日本の分岐点」になってしまっているのである。

 特に、97年から翌年にかけ、自殺者数が1.5倍になってしまったのには、痛ましさを禁じえない。新聞などで「日本の自殺者数が、今年も3万人を突破し~」という報道を見かけると思う。あの「自殺者数3万人突破」が始まったのが、まさしく98年で、それ以降は毎年3万人を上回ってしまっている。

 この自殺者数の増加を「国内のデフレ深刻化と無関係」と見ることは、各種の統計数値を見る限り、難しい。国内のデフレが悪化し、企業倒産や失業が増える。職を失い、生活の基盤を奪われ、経済的な困窮に陥った人たちが、自ら命を絶つケースが増えたと見るのが妥当だろう。

コメント106件コメント/レビュー

総需要は単位辺りの需要量×人口で決まります。人口増が総需要増に直結し、人口減社会が単純に嫌われるのはこの至極もっともな理によるから。ただ、内需拡大とはいうものの、既に人々の物欲は飽和点を越え、一人あたりの需要はどう考えても増えないし、増えない事が地球環境等も考えると自然で良い事なのだ。そして、人口が一方的に増える事もまた期待薄。となると考えるべきは内需拡大による需要不足の解消や生産人口減少による供給不足などではないのでは?如何に日本が外貨を稼ぐか?この一点に全ての対策を集約すべきだと思われる。(2010/09/14)

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総需要は単位辺りの需要量×人口で決まります。人口増が総需要増に直結し、人口減社会が単純に嫌われるのはこの至極もっともな理によるから。ただ、内需拡大とはいうものの、既に人々の物欲は飽和点を越え、一人あたりの需要はどう考えても増えないし、増えない事が地球環境等も考えると自然で良い事なのだ。そして、人口が一方的に増える事もまた期待薄。となると考えるべきは内需拡大による需要不足の解消や生産人口減少による供給不足などではないのでは?如何に日本が外貨を稼ぐか?この一点に全ての対策を集約すべきだと思われる。(2010/09/14)

内需の低迷のために、輸出依存度は上がっているのです。日本の問題は内需を増やす必要があることです。輸出を増やしてごまかすことは限界です。2007年の名目国内総生産(GDP)に占める財の輸出額の割合である輸出依存度は16.3%。前年に比べ1.5%ポイント上昇し、過去最高を更新した。02年から始まるいまの景気拡大は輸出主導型。個人消費などの内需が伸び悩むなかで日本経済は外需頼みの様相を強めている。■主要7カ国平均は22% 過去最高といっても、国際比較をすると日本の外需依存度はむしろ低い。世界貿易期間(WTO)や国際通貨基金(IMF)のデータで主要七カ国の輸出依存度を計算すると、06年の日本は約15%で、これを下回るのは米国(7.9%)だけ。日本は主要七カ国平均(22%)よりも低位にある。 大半の国は日本と同様に輸出依存度が年々上がっているが、中身は異なる。日本は名目GDPがほとんど増えないなかで依存度が上昇。これに対し他の国は名目GDPが安定的に増えても、輸出がそれを上回って伸びる形で依存度が上がっている。(2010/09/14)

輸出入依存率ねぇ・・・・筆者はどう思ってるのか分からないが、日本が成立してきたのは製造業の懐の大きさによるものですよ。すなわち物を作るということは、設備が動く、物が動く、人が動く、インフラが動く、つまりものづくりは街を丸々作り上げる力があるのです。かつての和歌山市や小松市のように、企業城下町って言われるぐらい、製造業はその街に根深く浸透していくものなんです。これが他の事業と大きく異なる点です。製造業を強くするって事は、民間主導での産業がどんどん生まれるんですよ。それが10%前後だから「輸出頼みではない?」というのが非常に恥ずかしい。「10%まで落ちてしまった」というべきでしょう(2010/09/14)

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