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“財政大黒字国”こそ破綻した現実

【最終回】もう一度言う「成長こそがすべての解」

  • 三橋 貴明

バックナンバー

2010年9月21日(火)

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 かつて、「ある国」の政府の負債残高(いわゆる「国の借金!」)がGNP(国民総生産)の2倍を超え、対GNPで実に288%にまで達したことがあった。「国の借金!」がGNPの2.8倍を超えたわけである。

 この「ある国」とは、別に近未来の日本のことではない。過去、19世紀のイギリスのことである。

「ムダの削減」で財政健全化を達成したわけではない

 19世紀初頭のイギリスは、巨額の費用をかけてナポレオン戦争(1803~15年)を戦わなければならなかった。何しろ、ヨーロッパのほとんどはナポレオン率いるフランスの手に落ちたため、イギリスはまさしく単独でヨーロッパ全土を相手に戦ったようなものであった。

 当然ながら、政府の軍需予算は巨額に達し(今も昔も、戦争には金がかかる)、「国の借金」はみるみるうちに膨らんでいったわけである。

 しかし、別にイギリス政府は破綻などしなかった。(※本稿において「破綻」とは、政府もしくは民間のデフォルト、すなわち債務不履行を指す)

 なぜならば、現在の日本同様、当時のイギリス政府の国債は、その100%近くがポンド建てだったためだ。というよりも、ほとんどイギリスのGNPに匹敵するような巨額の戦争経費を、同国に貸し付けられる経済主体など、当時は「イギリスの民間」以外には存在しなかったのである。現在の日本政府の巨額負債を貸し付けられる存在が、「日本の民間」以外に存在しないのと同様だ。

 現在の日本を軽く上回る、ナポレオン戦争終結時のイギリスの「国の借金」だが、同国はその後、およそ半世紀をかけて、対GNP比を少しずつ減らしていった。50年後の1870年頃には、イギリス政府の負債残高は、対GNPで100%を割り込むところまで財政状況が改善した。

 この時期のイギリス政府の「財政健全化」であるが、当たり前だが「ムダの削減」などにより達成されたわけではない。単純にイギリス経済が成長することで、GNPを拡大し、「国の借金」の対GNP比を引き下げていったわけである。

イギリスは1940年代にもGDP比250%を突破

 例えば、

「日本の『国の借金』はGDPの2倍水準だ。過去に、これほどまでに借金を積み上げ、破綻しなかった国はない」

 と、主張する人がいたとしたら、それは明確に嘘ということになる。ナポレオン戦争後のイギリスの事例が、その何よりの証拠だ。

 などと書くと、

「19世紀の話など、今の参考になるか!」

 などと言われそうである。

 とはいえ、別に19世紀の話を持ち出さなくても、1940年代にも、国債発行残高をGDPの3倍近くにまで拡大させていた国がある。またまた、イギリスだ。1940年代後半に、イギリスの国債発行残高はGDP比で250%を突破したのだ。だが、やはり破綻などしなかった。

コメント115件コメント/レビュー

ああ、やっと「需要に応える供給」の条件を満たす記事が。三橋氏はいつも需要を外した供給のような記事を書くから受け入れられないのですよ。今回の記事は国家戦略レベルのマクロ的な内容なのでそのレベルでは当たっているんですが、いわば総論。当然「総論賛成、各論反対」のようなコメントが付くでしょう(すみません。100超えのコメントはまだ読んでません。後で読みます)。■戦略レベルの記事なので、私は企業戦術レベルの内容でコメントを。TOCの記事にコメントしましたが、日本は需要不足なんじゃなくて、需要と供給がミスマッチを起こしてるのです。こんなに貯蓄があるのに需要が無いわけがありません。お金が回らないのは供給側にボトルネックがあるのです。企業も政府も需要を喚起できてないんです。政府の場合は税金で社会資本を充実させるのが役割なのに、ハコを作って作りっぱなし、それが社会資本として利用されているかのチェックをちゃんと行っていません。だからムダ使いって批判されるのです。「田舎に立派な道路を作りました」ならその道路が渋滞するほどの産業振興をしなきゃ、その道路は社会資本になってません。それはムダ使いです。■日本の企業の場合はTOCの記事にコメントしたようにとにかくリードタイムというムダが大きい。リードタイムが長いと記事にあったようにかなり未来の需要予測をせねばならず、とうぜん外す率が跳ね上がります。ムダに長いリードタイムがボトルネックなのです。大きい無駄があるのではなく、現場の小さい無駄が塵も積もって山となっています。無駄が多い会社は各人がちょっとづつ無駄を生み出しているのです。それが各人の集合である企業組織を鈍重なカメにしているのです。ムダを取れば巨像だって踊るのですよ、IBM元会長が言うように。(2011/06/15)

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いただいたコメント

ああ、やっと「需要に応える供給」の条件を満たす記事が。三橋氏はいつも需要を外した供給のような記事を書くから受け入れられないのですよ。今回の記事は国家戦略レベルのマクロ的な内容なのでそのレベルでは当たっているんですが、いわば総論。当然「総論賛成、各論反対」のようなコメントが付くでしょう(すみません。100超えのコメントはまだ読んでません。後で読みます)。■戦略レベルの記事なので、私は企業戦術レベルの内容でコメントを。TOCの記事にコメントしましたが、日本は需要不足なんじゃなくて、需要と供給がミスマッチを起こしてるのです。こんなに貯蓄があるのに需要が無いわけがありません。お金が回らないのは供給側にボトルネックがあるのです。企業も政府も需要を喚起できてないんです。政府の場合は税金で社会資本を充実させるのが役割なのに、ハコを作って作りっぱなし、それが社会資本として利用されているかのチェックをちゃんと行っていません。だからムダ使いって批判されるのです。「田舎に立派な道路を作りました」ならその道路が渋滞するほどの産業振興をしなきゃ、その道路は社会資本になってません。それはムダ使いです。■日本の企業の場合はTOCの記事にコメントしたようにとにかくリードタイムというムダが大きい。リードタイムが長いと記事にあったようにかなり未来の需要予測をせねばならず、とうぜん外す率が跳ね上がります。ムダに長いリードタイムがボトルネックなのです。大きい無駄があるのではなく、現場の小さい無駄が塵も積もって山となっています。無駄が多い会社は各人がちょっとづつ無駄を生み出しているのです。それが各人の集合である企業組織を鈍重なカメにしているのです。ムダを取れば巨像だって踊るのですよ、IBM元会長が言うように。(2011/06/15)

続き)投資先について三橋氏の提案はいずれも長期プランであり、その間国債は無際限に膨れ上がった場合、利払いができなくなったりはしないのだろうか。うまいことインフレしてくれればいいが、逆に円高と相まって輸出企業が国内に居ては利益確保できなくなってくるように思う■かなりの融資需要は潜在しているが、銀行が貸してくれない。利益回収が不透明な(新規の)事業投資には金が出ない。そこで企業は人件費を抑制し、内部留保で資金を確保しようとする。これが製造業の現場から見た現状。銀行が金を貸さないのは不良債権化を極度に恐れているのだろう。これを吐き出させる為には、日本がリスク許容型の社会にならなければ難しいのではないか。規制緩和よりもセーフティネットの拡充とベンチャーキャピタルの貸出基準の見直しが必要だと思う。銀行の制度について勉強不足なので具体的な提案にはならないが。(2010/10/15)

経済学に無知な工学技術屋の私には、このコメント欄では、三橋氏非難の方が論理的なものが多く、擁護派の方が唯の挑発と愚弄に終始しているとしか読めない。擁護派にも筋道立てた話や率直な感想もあるが少数。しかも国債は増刷で賄えるという繰返しが主で、主たるコメント欄のきちんとした反論には触れてもいない。それが残念。三橋氏の論を貶めるだけだと自覚すべき。あと擁護派の皆様はdsnk氏のコメントは読んでいるのだろうか■経済学者が資本主義経済について成長すべきだというのは全く"命題を答えにしてどうする"である。この命題へのアプローチを詳論するのが経済学の存在意義である。それが無いから反論者は無為と評価しているのでは■確かに民主政権の事業仕分けに代表される一部悪政は問題で、これらに対して財政より景気、成長可能性のある分野に投資を怠ってはいけないとも読める。その点には賛同できるが、どこにどう投資するのかが問題なのではないか。(続く(2010/10/15)

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