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40歳後半からもう給料は上がらない

【第14回】日本型雇用慣行の綻びと雇用の規制を考える(1)

  • 澤井 景子

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2010年10月1日(金)

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 今回は、日本型雇用慣行とそのメリット、デメリットについてお話し、そしていわゆる“非正規問題”について考えてみたいと思います。

 日本型雇用慣行については良く知られているように“三種の神器”といわれる3つの特徴があります。

 1つは長期雇用です。終身雇用とも呼ばれていますが、高校や大学を卒業してから新卒で企業に入社し、定年までずっと同じ企業に勤めることです。2番目が年功賃金です。勤続年数が長くなればなるほど、賃金が右肩上がりで上がっていくことですね。年齢と共に能力も上がっているという理由が背景にはあります。3番目が企業別労働組合です。企業ごとに労働組合が組織されていて、例外もありますが、経営陣と協調的な労使関係を築いていることです。

 これらの特徴は、メンバーシップ型社会とも言えます。これは労働関係のシンクタンクにいらっしゃる濱口桂一郎先生の言葉です。メンバーシップ型社会とは、企業の中で、良い意味でも悪い意味でも仲間意識が強いということです。その中で協力し合う関係ができ、メンバーが協力し合って一番良いことをしようと努力をする形です。

 この日本的雇用慣行には良い点が多くあります。例えば、オンザジョブトレーニングです。OJTと呼ばれていますが、雇用者の能力や生産性を、企業内で実際に仕事をさせながら向上させていくという教育訓練方法です。

 年功賃金は、このような形での能力の向上とほぼ、見合っていました。また、雇用者のライフステージにも合っていました。入社当時は1人暮らしであったり、親と同居しているため、生活に必要なお金は限られます。しかし、結婚して子供ができて、それから住宅も購入したいとなると、生活に必要なお金は右肩上がりで増えていきます。このように、日本型雇用慣行は、雇用者の生活の安定を確保するのに役立っていたのです。

 企業にとってもメリットがありました。高度成長の時期は労働者不足が一番の懸念材料でした。企業は安定した雇用を確保できるので、日本型雇用慣行は高度成長を支える仕組みにもなっていたのです。

 一方、日本的雇用慣行のデメリットとは何でしょうか。

改善には向いているが機動力には欠ける

―― 年功賃金には、若い時に自分の能力より低い給料で会社に貢献し、年を取ってからは会社への貢献度以上の給料を取り戻すという面がありました。でも、米国を見ると、新しいプロジェクトや事業を始める場合、その事業に最も適切な人を集めて、新しい事業を成功させ、その事業が終わればそのチームは解散する形が多いように思います。
 ところが日本の場合、途中で会社を辞めたら、ものすごく損をします。安い給料でしか雇ってもらえないんですから。そういう意味では非常に融通がきかない点があるというのは実際に感じたことでもあります。

 もっともなお話だと思います。日本型雇用慣行は、急激な変化に対する対応力が弱いです。例えば「カイゼン」のように、仲間で改善すべき点を見つけて少しずつ改良していくことは得意ですが、一気に根本的に変えようという場合には機動力がないです。

 また、やり直しが利かない、1度会社を辞めるとほかの会社に就職するのが難しいことが挙げられます。最初に勤めた企業がその人に合っているとは限らないのですが、再チャレンジがとてもしにくいシステムでもあります。

―― 我々の時代は一度会社に入ると、クビにはならなかったんです。だから安心して人生設計ができ、勉強もできました。また、会社の中で人脈をつくって、その人脈をうまく渡り歩いて、技術屋さんが事務に行ったり、労働管理の方に行ったりなどができていました。労働者から見れば安心して生活ができたメリットは大きかったです。

 そうですね。人生設計が非常に立てやすく、安心が得られた面は確かに大きなメリットだと思います。

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