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州・地方政府の財政危機はここまできている

2011年度、46州の赤字総額は約1600億ドルに達する

  • 勝藤 史郎

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2010年10月14日(木)

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 日本では財政再建の一環として増税に伴うたばこの値上げ話題になっている。しかし、ここ米国、特にニューヨークはたばこ増税の“先進国”である。

 ニューヨーク市内では先日まで1箱約9ドルだったたばこ(マルボロ)が今年の春から13ドルになった(店によっては15ドルするところもある)。ニューヨーク市では、州のたばこ税と市のたばこ税が2重にかかる。2.75ドルだったニューヨーク州たばこ税は6月から4.75ドルに引き上げられ、ニューヨーク市のたばこ税は4.25ドルから5.85ドルに引き上げられた。

 ニューヨーク州ではたばこ増税が実施されたほか、炭酸・砂糖入り飲料に新たに税金を課す法案も提案された(結果は廃案)。ニューヨークでは通常、食料品や飲料は生活必需品として州の売上税の対象外である。ところが、米国では砂糖入り炭酸飲料などは健康によくないとの考え方が広まりつつあり、学校の自動販売機などではこれらを販売しない傾向がある。 

 健康増進・財政悪化の折、こうした嗜好品が増税のターゲットになるのは通常のことだ。しかし、米国の州・地方政府の財政の悪化の影響はたばこにとどまらず広い範囲にわたっている。

目立つ教育関連の人員削減

 普段はあまり目立たないが、州・地方政府の財政が経済に与える影響は思いのほか大きい。州・地方政府の支出が米国のGDPに占める割合は約10%である。そのほかの主な需要項目は個人消費が約70%、設備投資が約10%、また住宅バブル崩壊後の住宅投資はそのシェアを大きく後退させて現在はGDPの数%にとどまっている。

 8日に公表された9月分の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月に比べて9万5000人減少した。内訳は、民間部門が6万4000人の増加、政府部門が15万9000人の減少である。政府部門のうち、連邦政府による国政調査員一時雇用の終了に伴う雇用減がほぼ7万7000人である。残る7万6000人の雇用減は州・地方政府の職員などの削減によるものだ。

 州・地方政府の雇用増減の推移をみたのが第1図である。景気悪化による税収減少により、州政府・地方政府は人員の削減を余儀なくされ、その傾向は全米がリセッションを脱却してからもむしろ加速している。

 特に目立つのが教育関連の人員削減だ。一般的に米国では公立学校の教職員組合の政治力が強いとされ、学校教職員の削減は政治的には困難だとされている。にもかかわらず州・地方財政の悪化はいわばこうした過去の聖域にも踏み込まざるを得なくなっている。

 教職員の削減の影響はうけるのはもちろん教職員本人だけではない。公立学校では授業時間の短縮やクラス数の削減などが行われ、教育という公共サービスの質の低下という本質的な問題にもなっている。

 米国の州財政制度の特徴は、全米50州のうちバーモント州を除く全州が条例などで「財政均衡義務」を政府・州議会に課していることだ。州財政予算策定段階などでは少なくとも財政均衡した予算を策定すること、赤字発生の場合は過去の剰余金積み立てなどを取り崩すことで対応することを求められ、赤字州債の発行が認められないこと、などが大まかな内容だ。

 こうした財政均衡義務は、一般的に経済において政府が果たすとされる役割と正反対の役割を州・地方政府が果たすことになる。

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