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EUのFTA戦略、周到さは韓国以上?

アジアの成長取り込むしたたか通商外交

2010年10月21日(木)

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 EU(欧州連合)と韓国は、今月6日、FTA(自由貿易協定)に正式署名した。鉱工業品と農産物の輸入関税の大半を5年以内に撤廃することなどを柱とするもので、双方の国内(域内)続きを経て、来年7月にも発効する見通しとなっている。

 世界全体でのFTA発効件数は、1958年から2010年6月までに187件を数える。FTA締結の流れは年々加速しており、2004年までの5年間で53件、それ以降の約5年半では68件に及び、過去10年間の発効件数は計121件と総数の約65%を占めている。リーマンショック後の世界的な景気後退局面でも増勢は維持され、2007年9件、2008年15件、そして、2009年には14件を記録している。

 周知の通り、韓国はFTA締結に最も積極的に取り組んでいる国の1つであり、2003年に同国政府が発表した「FTAロードマップ」をベースに“同時多発的”なFTA交渉を推進している。輸出を成長のメインエンジンに位置付ける韓国が、FTAを軸に「官民一体の海外戦略」を展開しているとする脅威論は、製造業の競合傾向が強い日本でも根強く、EUとの正式署名を伝える今回報道なども、こうした主旨で韓国を切り口にしたものが多く目に付いた。

 一方で、相手方のEUのスタンスはどうであろうか。実は、今回締結に至るEU側の動きも、欧州委員会が先に打ち出した通商戦略に沿ったものであり、以下に述べる通り、その詳細を見ると、意外に周到なEUの姿が浮かび上がる。

FTA推進の指針「新通商戦略:グローバル・ヨーロッパ」

 EUと韓国のFTA締結交渉は2007年5月に開始された。EUサイドで、これを推進する指針になったのが、欧州委員会が前年2006年10月に発表した「新通商戦略:グローバル・ヨーロッパ(Global Europe: Competing in the World、以下「新戦略」)」である。

 欧州委員会は、この中で、通商政策について、[1]非関税障壁の撤廃、[2]資源へのアクセス確保、[3]貿易に於ける新成長分野の強化の3点を基本目標として掲げ、FTAを通じて、EU企業にとっての市場開拓や公正な競争条件の確保を目指す方針を明確に打ち出した。

 FTAの対象国・地域の選定については、[1]市場の潜在性(経済規模と成長性)、[2]EUの輸出利益に対する諸環境(相手国の関税水準や非関税障壁、そして、EUの輸出競合国とのFTA締結状況など)を基準に判断。最優先の締結相手にASEAN(東南アジア諸国連合)、韓国、メルコスール(南米南部共同市場)を特定し、これにインド、ロシア、GCC(湾岸協力会議、1990年から交渉中)を交渉候補国として加えた計6カ国・地域を対象としている。EUにとって、韓国とのFTA締結は、「新戦略」方針下での第1号案件となった。

ドーハラウンドの決裂でFTAを通商振興の武器に格上げ

 同時に、EUにとって韓国は、アジアで最初のFTA締結国でもあるが、この事実は、EUの通商戦略上における2つの大きな変化を反映している。

 まず1つは、FTAそのもの位置付けだ。これまでEUは、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)/WTO(世界貿易機関)の多国間交渉による貿易自由化を通商振興の基軸としてきた。そのため、FTAは長らく、地理的・歴史的につながりの深い、近隣・旧植民地諸国との関係安定化などを目的とした政治色の強いものか、あるいは、欧州企業の競争条件が著しく不利な状況を改善するための補填措置の位置付けなどにとどまっていた。

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「EUのFTA戦略、周到さは韓国以上?」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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